その線は、繋がらない (ページ7)

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「あ、勝利くん…！」

久しぶりにバイトが休みになって

実家に帰ったタイミング。

母に優太と最近会っていることを指摘された。

『それならこれ渡して』

「お隣なんだしおばさんに渡せばいいじゃん」

『直接本人に渡した方がいいでしょ』

「はいはい…」

と分厚い封筒が手元に。

開けてみるとそこには高校時代の写真。

私がよく撮ってた優太達の姿。

今考えると償いにも思える。

離れていた分を取り戻すかのように

夢中になってスマホで撮ってたっけ。

『お父さんがパソコンに入ってたデータ、プリントしてくれたみたい。』

「おとーさんありがとー」

ソファに座っている父に呼びかけると

おー。と間の抜けた返事。

『いつまで経っても娘は可愛いみたいね。』

「…うん。」

『優太くんの隣の子があまりにかっこいいから疑ってるみたいだけど。』

「勝利くん？家に連れてきたことなかったっけ？」

『こんな綺麗な子連れてきてたら私も覚えてるわよ』

母はリビングに行ってしまった。

何十枚とある写真の中。

夏の一枚が目を惹く。

プールサイドに置かれた

水泳部のイスに座る二人。

カバンを抱え笑っているのは勝利くん。

二年生から同じクラス。

気づけば意気投合。

優しくて笑顔が可愛い勝利くん。

元気にしてるのかな。

「…ていうか、となりの人何やってんの」

隣の優太は上半身裸。

首にネクタイだけ結んで

ズボンも謎にロールアップ。

しまいにはサングラスをかけて決めポーズ。

今見ると恥ずかしいような

それでも面白いような。

…こんなことやってたなぁ。

中学生の私は

なんで手を離したんだろう。

後悔が一瞬頭を通り過ぎて、消えた。

「お父さん、データまだ残ってる？」

勝利くんの分もプリントして

連絡してみようかな。