その線は、繋がらない (ページ28)

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もうひとつの結末。ページ28

選んだのは。

『ねえ…あの人かっこいい』

『ホントだ。一人でいるけどこの後何かあるのかな』

私の前を歩いていた

同じ年くらいの女の子二人がコソコソ囁き合う。

どうやら彼女達の前にはイケメンがいるらしい。

どんな人だろう、見てみようか。

野次馬根性を数秒後に後悔するとは知らずに。

「…嘘でしょ」

彼女達の話題の中心はまさかの人物。

『声かけてみる？』

『うーん…あ、こっち向いた！』

『えっ、えっちょっとこっち来るよ！』

『しかもすごい笑顔可愛い…』

お願いだから今すぐ去って女子達。

そんな願いも叶わず

「もう…遅いよ。遅すぎてAの珈琲の氷溶けちゃった」

釘づけの女子二人を通り過ぎ、

せっかく美味しいのに、と残念がる人物こそ

私の愛しの彼氏様。

彼の背後ではあからさまにがっかりした顔の女子二人。

あ、行っちゃう。

「ちょっと？聞いてます？」

「ああ…ごめんごめん。珈琲、美味しそうだね」

「全然聞いてないよね？」

「聞いてるよ。優しい勝利くんが珈琲買ってきてくれて私は嬉しい。」

あれ。そういうことじゃない…か？

勝利くんはあきれ顔。

やっぱり。

でも、勝利くんは意外なことを言った。

「かなわないよ。Aには。」

「そう、なの…？」

首を縦に振って

また、笑顔。

「気づいてないとこがまた、好きだよ」

そうやってサラッと言うから！

「…私こそ勝利くんにはかなわないよ」

「お互い様ってこと？」

「そうなりますかね…」

「なんで敬語よ。」

「今…照れてるから」

「そうなんだ。」

「ケントさんのおかげで恋愛スキル上がってるんじゃないの」

「そんなことないよ！」

必死に否定する勝利くんが可愛くて

ついつい顔が緩む。

「ねえ、勝利くん」

「うん？」

「やっぱり私、勝利くんの笑顔が好きだよ。」

ずっと笑っていてね

私の隣で

「…駄目。今僕の方が照れてるから。」

私たちはいつまでも

お互い様。

________Shori END