その線は、繋がらない (ページ22)

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うじうじしてる自分、すごく嫌。

「ごめん。変なこと言って。進もう」

笑って誤魔化そうとした。

でも、その歩みは遮られて。

気づけば温かい腕の中。

人のまばらな植物園。

調節された人工的な湿気が

私たちを包む。

「…勝利くん…？」

「ねえ。笑顔がいいって教えてくれた

初めての人がAだったんだよ。

だから好きになったの。

…って言ったらどう思う？」

しっかりとした筋肉

変わらない優しい声色。

変わったのは勝利くんを包む香水の匂い。

変わらないものと変わっていくもの。

その間で迷っている大人で子どもの私。

「嬉しい…嬉しいよ。勝利くんは私の大切な人だもん」

「じゃあ、僕の恋人になってくれる？」

「恋人…」

「ずっと好きだったんだよ。気づいてないだろうけど。」

すっぽりと胸板に収まった私から

勝利くんの顔は見えない。

どんな顔してるの？

「それも嬉しい。嬉しいよ。」

「嬉しいけどすんなりうん、って言ってくれないんだね」

「まだ…わからないの。勝利くんはずっと友達だったから」

「残酷だよね。友達って響き。」

「…ごめんね」

「今、岸のこと考えてる？」

心臓が跳ねた。

見透かされたような気がして。

ごちゃごちゃの頭は

優太の顔を思い出させる。

「正直に言うと…そう、だよ。」

「岸のことが好き？」

「わからない。いて欲しいの。私の人生には欠かせない人なの。二人とも。」

優柔不断な自分を

グーで殴ってしまいたい。