その線は、繋がらない (ページ11)

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遠出の散歩。海辺の洞窟。

「よくそんなとこサンダルで行くよね」

あとで靴擦れ起きても知らないよー。

私の声は岩に反響して消えていく。

「よっ、と、おー。いい運動だわ。」

のんきな声出しながら

軽々と足場のない場所を進んでいく。

少し遠出しようと言い出したのはあっちから。

「Aさ、なんでそんな疲れてんの？年？」

「朝起きられなかった人に言われたくありませーん」

「朝起きられないのは若い証拠でしょうが」

たしかに。

言い返せない。悔しい。

「私そこで休んでるから」

「ほーい」

男の子はいつまでも

子どもの側面を持ってるって聞くけれど

まさにその通り。

優太のはしゃいでる姿はほぼ五歳児。

「ねえー珈琲飲みたいんだけどー早くー」

まだ遊び足りない様子だけど叫んでみる。

「えー？…もう？」

「かよわいから疲れたー」

「酒の飲みすぎじゃないんですかー？」

「…はーい。先行きまーす。さよならー」

前言撤回。五歳児よりはるかに悪質。

立ち上がって先に歩き出す。

優太なんて後から合流すればいいし。

ひとりで進んでいると

「しょうがない！ほら、行こ」

「あ…ありがとう」

いつのまにか追いついて

バッグをさらりと持ち上げられる。

大きい背中はどんどん

私を追い抜いていく。

そういうとこ。

なんか、悔しい。