図書室の地味子さん【剣城京介】 (ページ39)

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(｀・ω・´)ゞ38 ページ39

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けれど、それも本当に束の間で

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「…あ……」

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先輩が、抱きしめてくれたのだと気がついた時には

彼女は軽く手を振ってその場を去ろうとしていた

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だんだんと小さくなる背中を見つめながら

今更だけれど、顔が、身体が

じわじわと熱くなるのを感じた。

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「あぁー……くそ……//」

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卑怯だ。

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ずるい。先輩ホントずるい。

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一気に不安になったとこを狙ったかのように

こんな、期待させるような真似。

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伝えられず、押し殺せない、このどうしようもない気持ちは

一体どこにやればいいんですか。

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タイミングが良すぎるじゃないか。

俺が顔に出やすいんだろうか。

彼女が感情を読み取るのが上手いだけだろうか。

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本当に計算してやられてるとしか思えない、この態度。

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『好き』を弄ばれてるような感じ。

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けれど

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それが心地いい、と。

それでも彼女が愛しい、と。

思ってる時点で、俺は負けてるんだろう。

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もう授業が始まりそうだからか、廊下に人はいない。

それが唯一、有難かった。

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隅の方にいる霧野兄妹は……特に妹は、寂しげな顔で、ただ俯いている。

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静かに響く雨音は、まだ、止まないまま。

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