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( 至 s i d e )
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万里が2人への想いを詰め込んだ文章を読み終わるころには 、所々で鼻をすする音が聞こえた 。
秋組や彼らと年代の近い組は鼻をすすっていた 。流石スーパーウルトライージーモード 。
「今日は本当に、よく晴れている 。こいつらを祝うにはぴったりな天気です 。 」
万里が見上げた先、吹き抜けになった天窓から射し込む陽射しのせいだろうか、
その目が輝いているような、潤んでいるような、深くにも俺の喉の奥も熱くなる。
「 兵頭 、こいつのこと幸せにしてやってくれ 」
深々と十座に向かい 、頭を下げる万里に 、Aの涙腺は崩壊していた 。
化粧が崩れ落ちるほどわんわん泣き叫ぶAに 、見てるこっちがハラハラする 。
十座はあたふたとしてなれない手つきで頭を撫でる 。
万里は苦笑いして 、高そうなハンカチをAに渡す 。
最前列からはその光景がはっきり見えた 。
「 幸せにするに 、決まってるだろ 」
そう強く言い切った十座に 、万里が優しく微笑んだ 。
秋組の第一公演が終わってすぐ 、万里から、
" 兵頭と付き合うってよ "
と泣き腫らした顔を誤魔化すように 、なんともない口調で言われた 。
季節が何度も巡って 、十座が主演 、万里が準主演を勝ち取った年 、 十座はAにプロポーズした 。
万里がまだAが好きなことくらい 、俺には一瞬でわかった 。
それでも 、なんともない風に笑って 、
" 指輪はこのブランドがいい "
" Aは庶民派だから高い店はやめとけ "
" Aは海が見える式場がいいって昔っから言ってたぞ "
幼馴染の自分にしかわからないような 、十座が知らない 、自分だけのAの言葉を次々に横長しにしていた 。
" 俺の分まで 、Aのこと幸せにしてやってほしいんすよ "
万里は確かにそう言ってた 。
本心かどうか 、そこまで問い詰めるほど俺は気の気かない男じゃない 。
毎年同じようでそうじゃなくて 、
少しずつ変わっていく時が優しく流れていった 。
何回も何回も公演を繰り返す度に 、
時間の大切さを身に染みて感じていた 。
変わらないものなんてどこにもない 。
良くも悪くも 、生きている限り 、
どんな関係にも変わらず終わりは来る 。
もうすぐ 、彼らの季節になろうとしている 。
E N D .
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Envy(プロフ) - 待って…この泣き顔で家族の前出られない……最高すぎます!!! (2018年10月22日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - リカさん» はじめまして、コメントありがとうございます!泣かないでください!(笑)私の理想の男の子像すべて詰め込んだのでそう言ってくださると嬉しいです!これからも頑張りますので応援宜しく御願い致します! (2018年1月2日 12時) (レス) id: f958d9ffd7 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - わたあめさん» はじめまして、コメントありがとうございます!そう言ってくださると嬉しいです!拙い文章ですが一生懸命に書いたので嬉しいです!こちらこそこんな作品を最後まで読んでいただきありがとうございます! (2018年1月2日 12時) (レス) id: f958d9ffd7 (このIDを非表示/違反報告)
リカ - とても良い作品でした(泣) 最初万里と付き合ったのかって思っていましたがまさかの十座で嬉しさで泣きかけました←十座も万里も両方イケメンすぎて死にかけました笑 これからも頑張ってください! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 216799462f (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 感動しました!素敵な作品ありがとうございます! (2017年9月18日 18時) (レス) id: 4684504991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2017年7月1日 21時