[ 摂津万里 ] bitter or sweet ! [ 兵頭十座 ]

012 ページ12

.



( 十座 s a i d )



.





蒸し暑い夏が始まった頃には 、
クラスにも打ち解けていた 。

友達と言うものが初めて出来て 、
買い食いや 、ゲーセン 、カラオケ 、
何もかもが新鮮で馬鹿みたいに楽しかった 。

少し帰りが遅くなっても
お袋は嬉しそうに笑っていた 。



" 十座 、最近よく笑うね "



お袋にそう言われて 、
改めてAのおかげで世界が
180度変わったことに気づいた 。



" そうかな "

" そうよ 、学校楽しい ？ "

" ああ 、楽しいよ "

" 好きな子できた ？ "

" さあ ？ "



そう言うと 、飛び跳ねて驚くお袋に 、だれ！？どんなこ！？と腕を掴まれ、せがまれる 。

Aがどんな子か 、なんて 、一言では表せられなくて 、返答に悩んでいると 、Aの笑顔が頭の中に浮かんできて 、



" 笑顔が可愛い子 "



そうお袋に言った 。






.







夏休みまで 、数日を切った学校でのホームルーム 。

担任は出席簿で涼しげに扇ぎながら 、クラスにこう伝えた 。



「 え 〜 っと 、体育祭の実行委員をクラスから男女2人出すんだが 」

「 っはい ！！！ 」

「 ... だよな 」



実行委員 、そう聞いて高々と手を上げたのはAだった 。

Aは３年間体育祭の実行委員をやっていて 、今年は絶対に実行委員長になって 、競技を増やそうと意気込んでいた 。

Aが実行委員をやりたがっていたのはクラス中が知っていたので 、女子は、A以外手を挙げなかった 。

実行委員は 、夏休み期間中も学校に来て 、準備等をするわけで 、好き好んでやる人間は少ない 、一部の高校を覗いては 。まあ歐華高校はその一部の高校に入るのだが .. 。毎年大人気な実行委員には数名の男子が立候補していた 。



( 夏休みにAに会えるのか 、 )




「 夏休みにAに会えるなんていいな 〜 って思ってんだろ 〜 ！？ 」

「 .. っ 何言って ！？」



話しかけて来たのは友人の優斗だった 。
恐らく顔は真っ赤に染まってるのだろう 。
ニヤニヤと笑う優斗のお陰で 、嫌でもわかる 。



「 ... いつから知ってた 」

「 さぁ？ まあ 、応援してまっせ 」

「 ... Aにはこのことは 」

「 言わねぇに決まってんだろ 」



" まあ 、とりあえず十座実行委員決定な "

そう言えば 、優斗が手を上げ 、

兵頭くん推薦しま 〜 す ！ と言った 。

駄目元でスピーチ 、投票集計が終われば 、

俺は本当に実行委員になっていた 。



.

013→←011

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す