今宵もげぇむ ページ32
…♣
マンションを出た私たちは、しばらくの間
ライトをつけずにゆっくり渋谷の街を走っていた。
｢渋谷じゃないみたい…｣
｢慣れないもんだな。｣
少し走らせるとセンター街へ来た。
｢ん？｣
車を停め、目を凝らしているクズリュー。
夜になり灯りもない渋谷は真っ暗でよく見えない。
｢どうしたの？｣
そう聞く私にクズリューは、あそこを見ろ と指をさした。
クズリューと同じように目を凝らした。
よーく見るとスクランブル交差点の真ん中で
人影が見えた。しかも1人ではない。
｢え、人？？こんなところで何してるのかな｣
｢…｣
クズリューは私の言葉には返事をせず、
ただ人影の様子を伺っていた。
｢A。一応言っておくが、この先げぇむ会場で会う
初心者やビーチの会員じゃない人に、ビーチのことは言うな｣
ずっと静かにしていたクズリューが私の目を見て言った。
｢え…？どうして？｣
ビーチはいい所だし、みんなで協力したら
元の世界に早く帰れるんじゃない？と思っていると、
｢人間は皆、良い奴だけじゃない。
ビーチの新たなルールができた理由、知ってるか？
ボーシヤや私たち幹部に内緒でカードを隠し持っていた人が
いたらしい。しかも複数人… 全員とは言わないが、
簡単に人を信用してはいけないんだよ。｣
分かったか？そう言ってクズリューはまた前を向いた。
そんなことがあったなんて知らなかった…
だからあの日、新しいルールができて、
その裏切り者たちを排除するのがアグニたち…武闘派。
そういえばあの日、ニラギの手に血がついていた。
全ての点と点が繋がった。
｢…わかった、気を付ける。｣
私がそう言うとクズリューは｢ああ。｣と言って頷いた。
すると、電源がつく音が聞こえた。
周りが明るくなる。複数人の人影の正体が見えた。
3人の男性だった。
明かりは、いつものようにげぇむの案内のようだ。
3人の男性はただ文字を読んで固まっていた。
目の前では赤く光っている場所があった。
そこが今夜のげぇむ会場…
そう思っていると3人の男性も光っている場所を見て
光に向かって走りだした。
｢近くまで送ろう。あいつらとは違うルートの道を行く｣
クズリューはそう言うと、車を走らせた。
｢あそこだな。｣
げぇむ会場からちょっと離れたところに車を停めた。
｢きっとあいつらはまだいない。いいかA、
ビーチのことは言わないように。｣
私は頷いて、げぇむ会場へ向かう。
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シオリ - ニラギのは少ないのでとても嬉しいので早く続きが見たいです。 (4月27日 21時) (
レス) id: 653f2e7127 (このIDを非表示/違反報告)
おり - とても面白いので続き早く見たいです (3月7日 11時) (レス) id: 5b39725ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃんちょめ | 作成日時：2024年2月5日 2時
