ヒーロー ページ29
…♣
あれから泣いてる私が落ち着くまで、
ずっと抱きしめて頭を撫でてくれたニラギは
部屋まで送ってくれた。
｢なあ。その跡…｣
そう言ったニラギは、私の首元を見ていた。
｢あ…これどうしよう…｣
まだ気持ち悪い感触が残ってる場所を触る。
｢ﾁｯ｣
舌打ちが聞こえたと思った瞬間、
ニラギが私の腕を引っ張り距離が近付いた。
｢え、あの…ニラギ？｣
ニラギは焦る私を無視してずっと首元を見ていた。
なんだろうと思っているとニラギは少し目を伏せ近付いた。
咄嗟にキスされると思い､つられるように私も目を伏せた。
ドキドキしていると、首元に痛みを感じた。
｢んｯ…ニラギ？｣
名前を呼んでもニラギは顔をあげず首の痛みは続いた。
顔が自分でも分かるぐらい真っ赤になっていると思う。
｢よし。｣
ニラギの声が聞こえたと思ったら､今度は
生暖かいものを感じた。 舌で舐められたんだ…
｢ｯ…｣
声にならない叫びで更に顔が熱くなる。
恥ずかしすぎて泣きそうになる。
満足したのか顔をあげ、私と目が合う。
ニラギはいつものように眉間に皺を寄せ何か言いたげだった。
でも別に何も言わず､寺島くんみたいに熱をもった目で
私のことを見ていた。
不思議とさっきみたいに嫌な気持ちにはならない。
少しだけ沈黙が続いた。意心地のいい沈黙。
ニラギは私の首元を見て、
自分が跡をつけて舐めた位置を触っていた。
｢はぁ…｣
ニラギがため息を吐いた瞬間､
首元にやっていた手も離した。
｢あの男にされたことは忘れろ。｣
じゃ。と両手をポケットにいれながら言って、
ニラギは元来た道を歩き出した。
｢ニラギ！本当にありがとう…！！｣
背中に向かって叫ぶ。
彼は顔を少しだけこちらに向けて片方の口角だけあげ、
また前を向いた。距離が近付いた気がして嬉しくなった。
部屋に入り、お風呂に入ろうと脱衣所に行く。
ふと脱衣所にある鏡で自分の首を見る。
そこには薄く赤くなっている痣の上から、
濃い赤色の痣があり少しだけ歯型もあった。
濃い赤色の痣を撫で少しだけ嬉しくなる。
好きな人からつけられた跡ってこんなに嬉しいものなんだ…
お風呂からあがって、ベッドに横になる。
ハートの2でげぇむをやった時も、
寺島くんたちからも、
ニラギは私がピンチの時絶対助けてくれた。
やっぱり優しくてかっこいい、私のヒーローだ。
明日アンに話聞いてもらお…
そう思いながら私は眠りについた。
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シオリ - ニラギのは少ないのでとても嬉しいので早く続きが見たいです。 (4月27日 21時) (
レス) id: 653f2e7127 (このIDを非表示/違反報告)
おり - とても面白いので続き早く見たいです (3月7日 11時) (レス) id: 5b39725ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃんちょめ | 作成日時：2024年2月5日 2時
