汚れ役 ページ21
…♣
｢血、ついてるよ？どうしたの？｣
ポケットにいれてあったハンカチで血を拭きながら
私はニラギと目を合わせ聞いた。
｢…ｯやめろ離せ｣
｢あんたには関係ねえんだよ。｣
そう言って手を離されてしまい、背を向け歩きだした。
｢関係なくない！｣
ニラギのシャツの裾を掴んで叫ぶ。
私って…こんなにも大胆で積極的なんだなって、
昨日から自分でも驚いてる。
｢ニラギのこと、好きだから…｣
｢なんでも知りたいって思っちゃうの！｣
少しだけ泣きそうになりながらニラギに伝える。
ニラギは前を向いていてどんな顔をしているの分からない。
沈黙が続く。
私の心臓の音が妙にでかくてニラギに聞こえそう。
長いようできっと1分も満たない沈黙が破れた。
｢汚れ役だ。｣
｢新しいルールはもう始まってんだよ。｣
｢裏切り者には死 を。つまり、殺すんだよ。俺らが｣
そう言って、こっちを見て微笑んだ。
多分初めて私に向かって微笑んでくれた。
その微笑みは決して甘い雰囲気のものではない。
”今からでも殺せるのが楽しみ”
そう言っているみたいな微笑みだった。
でも不思議だよね。
そんな微笑みに怖いとか恐ろしいって感じずに、
思わず｢かっこいい…｣って言っちゃったんだもん。
｢君たち仲良いよね。付き合ってるの？｣
ニラギの後ろから話しかけられる。
びっくりして掴んでいたニラギのシャツを離した。
誰かと思えばチシヤだった。
｢はぁ？ふざけんな。誰がこんな女と付き合うんだよ｣
そう言って今度こそニラギは歩き出して姿を消した。
｢ごめん邪魔だった？｣
心からの謝罪ではないその言葉に、少しだけムッとしたが
｢ううん大丈夫。｣とだけ伝えた。
｢それで、付き合ってるの？彼と。｣
チシヤは探るように聞いてくる。
｢残念だけどニラギの言う通り付き合ってないんだぁ…｣
｢私は好きなんだけどそれも昨日からだし、｣
｢これから付き合う予定かな！｣
きっと、キラキラした目で話してる私に
チシヤは口角を少しだけあげて
｢そっか。結ばれるといいね｣と言って去った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シオリ - ニラギのは少ないのでとても嬉しいので早く続きが見たいです。 (4月27日 21時) (
レス) id: 653f2e7127 (このIDを非表示/違反報告)
おり - とても面白いので続き早く見たいです (3月7日 11時) (レス) id: 5b39725ede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きゃんちょめ | 作成日時：2024年2月5日 2時
