♥の真相 ページ19
…♣
アンと言い合いをしていると、
アグニが話しかけてきた。
｢仮にこいつの話がほんとだったとしたら…｣
｢あいつは死ぬことを前提で3両目のドアを開けたことになるだろ。｣
…え？
｢たしかにな…アグニの言う通りかもしれない。｣
｢えぇ。確実にね｣
クズリューも考え込むように言い、
ミラはキラキラした目で微笑んで呟いた。
｢4つのうち1つしかガス車両はなかったんだろ？｣
酸素ボンベは3つ。助かる確率は75%だ。
人は､不思議なことに安全かもしれないと思うと
頭では分かっていても生きることに貪欲になる。
クズリューが話してるのを聞いていたアンは、
腕を組んで”なるほど”と呟いた。
｢このげぇむはハート。｣
人の死にたくないという気持ちを駆り立て、
ゴールの4両目がガス車両ではないと思わせる。
そうなるとプレイヤーは3両目まで酸素ボンベを使い切る。
アンに続いて
｢そして、酸素ボンベがないプレイヤーは皆絶望する。｣
でもニラギとその生き残った初心者の子は、
確率が2分の1になって決められなかった。
だから､いっそのこと生きるのを諦めて
死ぬ覚悟でドアを開けたんじゃないかしら。
微笑みながら言うミラ。
｢まあただの憶測だ。♥のげぇむなんて厄介なだけだ｣
クズリューが呟いてからアグニは何も言わずに部屋を出た。
それを合図に今度こそ幹部のみんなは解散になった。
開いていたドアから聞こえる、
♥の2のげぇむ内容をチシヤは柱に隠れて聞いていた。
”私の妹はね運が良いのよ。”
”明るくて優しい強い子でね、かわいいの。”
そう話す同僚の顔を思い出していた。
.
.
.
niragi side
｢ﾁｯ♥のげぇむとか最悪だろ｣
と自嘲気味に笑いながら呟いた。
1両目と2両目で酸素ボンベを使ったが、
ガス車両じゃなかった。
クソｯ。考えてて頭が痛くなる。
ふと電車に乗る前のあいつの顔を思い出した。
｢人､助けかな…｣
｢私の歌で助けてあげたい。｣
｢絶対一緒に生きてビーチに帰ろ！｣
ﾌｯ…ハッハッハッハッハ
あーおもしれえ…
サザンカさん死ぬ前に会えて良かったぜ。
自給式呼吸器を外して、酸素ボンベと共に床に投げた。
3両目のドアを開ける。
花が咲いてる…ガス車両じゃねえのかよ。
そういえばトランシーバーをあいつのポケットに､､
…おい。聞こえるか
……おい。
｢ニラギのこと信じるよ！｣
単純すぎる女だな。いつか騙されるんじゃねえの？
少し微笑む。初めて人に温かい言葉をもらったかもな。
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シオリ - ニラギのは少ないのでとても嬉しいので早く続きが見たいです。 (4月27日 21時) (
レス) id: 653f2e7127 (このIDを非表示/違反報告)
おり - とても面白いので続き早く見たいです (3月7日 11時) (レス) id: 5b39725ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃんちょめ | 作成日時：2024年2月5日 2時
