好き…かも。 ページ17
…♣
3両目に入ったら、
花は綺麗に咲いてこちらを見あげていた。
ニラギのおかげだ…。
生き残れたことに安心して力が抜けて座りこんだ。
4両目、酸素ボンベをつけ中に入ると
花は見違えるほどに枯れてそこに立っていた。
『こんぐらっちゅれいしょん』
スマホから無機質な声が聞こえた。
びざが2日支給。残りのびざは3日。
5分経って電車が止まった。
ドアが開いて外へ出ると、初心者のお姉さんだけがいた。
｢…え？ニラギ？ ニラギ！どこ！！？｣
なんでニラギがいないの？まさか…嫌。
泣きそうになっていると、
｢あ、あの。ピアスの男性なら先に行ってるって伝えとけって言ってからもう帰りましたよ…。｣
｢え…？｣
｢戻ってくるのを待ちましょうって言ったんですけど｣
鼻で笑いながら”あいつは平気だろ”って言って聞かなくて。
なにそれ。 思わず、床に座り込む。
もうなんなのよ…。 涙が1滴こぼれる。
｢あの…大丈夫ですか？｣
お姉さんに背中を撫でられながら
私は｢良かった｣って心の底から思えた。
｢あのほんとに来なくていいんですか？｣
｢…はい。それじゃあ。｣
お姉さん…シブキさんに一緒に来ますかって伝えたら
｢私は1人で大丈夫なので。｣と言って、ついてこなかった。
シブキさんが歩いた方向と真逆の道を歩く。
車を停めた場所まで、少しだけドキドキしながら向かった。
車が見えたと思ったら、エンジンがついた。
ニラギは窓から顔を出して
｢てめえ来んのが遅せぇんだよ！さっさと乗れ｣
ニラギの顔が見れ、声が聞けたことが嬉しくて
私は車に駆け込んだ。
ビーチに向かってる道中、
｢ニラギ｡｣
｢あ？｣
｢ありがとう。 助けてくれて…｣
ニラギは舌打ちをして何も言わなかった。
｢ねえニラギ…｣
｢ﾁｯしつけえな。何？｣
ニラギに睨まれても怖くない。
…あぁ、やっぱり私。
｢好き…かも。ニラギのこと。｣
｢きゃ！ちょ､ニラギ！！急ブレーキしないでよ！｣
私が告白した瞬間、ニラギは眉間に皺を寄せ顔が怖くなったと思ったらいきなりブレーキを踏んだ。
｢は？今なんつった？おめえ何言ったか分かってんの？｣
相変わらず怖い顔で睨んでくる。かっこいい。
｢うん。ニラギのこと好きって言った。｣
私は恥ずかしげもなく伝えた。
ニラギは舌打ちして運転を再開させ、
｢きっしょ｣
と一言呟いた。
不思議と傷付かないのって、やっぱり恋だよね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シオリ - ニラギのは少ないのでとても嬉しいので早く続きが見たいです。 (4月27日 21時) (
レス) id: 653f2e7127 (このIDを非表示/違反報告)
おり - とても面白いので続き早く見たいです (3月7日 11時) (レス) id: 5b39725ede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きゃんちょめ | 作成日時：2024年2月5日 2時
