曖昧な彼女 (ページ10)

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09. ページ10

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「秘密基地？」

『冗談、ただの部屋です。』

「ここって立ち入り禁止じゃなかったんだ、」

『誰かにそう言われたんですか？』

「マネージャーに…」

『あぁ、なるほど。
配慮してくれたんですね、優しい。』

「どういうことですか？」

部屋に入ると前と変わらぬ狭さ
オシャレなテーブルと大きくて柔らかそうなソファ

ん？クッションとブランケット？
てかTVあるのかよ
それに何だあの箱みたいなやつ…

『ここ、主に私が使ってる部屋なんです。』

「え？」

『着替えたりメイクしたり勉強したり練習したり、』

「…」

『元々は物置部屋で一昨年修繕工事された際に、
この部屋が空いたので使わせて貰ってるんですよ。』

そう言って成瀬さんは靴を脱いでラグに上がり
荷物を置いてソファに座るよう俺に促した

「あの、成瀬さん。どうして敬語なんですか？」

『だって江口くんには色々バレちゃいましたし…』

「ん？」

『ん？』

キョトンしとした顔で見られて
こちらも同じ顔をしてしまう

『先週お会いしたのにもう忘れちゃったんですか？』

「先週？……えっ！嘘！？」

『手、振ったのに。』

「あの時の女子高生！？」

『本当に今気付いたの？笑』

「うそ…、成瀬さん女子高生なの？」

『1991年生まれの18歳です。』

衝撃

　

『…そんなに驚く？』

「似てたし妹かなって思って…」

『あはははっ！笑』

「そんな笑う！？」

『妹はいません、笑』

「そうなんだ…」

メイクが濃いとは思ってたけど
あんなに印象が変わるとは

まぁどちらにせよ
どえらい美人なのには変わらなかったが

『この部屋は事務所からの配慮なんです。
年齢も名前もバレるわけにはいかなくて、だから…』

「あ、うん。言わない。」

『ありがとうございます、』

見た目を考えると色々非公開の方が安全だよな

メイクが濃いのも大人っぽく見せるだけじゃなくて
気の強い女に思わせる自己防衛なのかな

「とりあえず、タメ口にしない？」

『え？』

「年齢公開してないから、
今まで先輩か後輩かで話し方を分けてたんでしょ？」

『そうです、』

「だったら成瀬さんが敬語なのはおかしいじゃん。」

『ありがとうございます、』

「タメ口じゃないんかい。」

『っありがと！』

「うん、笑」

あぁやっぱり
その笑顔が1番可愛い

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