曖昧な彼女 (ページ9)

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08. ページ9

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この日俺が少しでも違った行動をしていたら

未来は変わっていただろうか

仕事終わりに事務所で台本を受け取った俺は
自販機で飲み物を買って帰ろうと廊下を歩いていた

廊下の角を曲がって自販機を見つけると
その先に1人の女性がいて

去年俺が間違えて入って成瀬さんに会った場所

鍵がかかっているはずの例の部屋を開けようとしていた

あの部屋はマネージャーから入らないよう言われてるし
社員専用のエリアなのかと思ったけど

成瀬さんがあの日部屋にいたんだから多分違う

自販機に伸びた手を止めて
その女性の動向を見守る

部屋の鍵を差し込もうとして見えた横顔は

「成瀬さんっ、」

衝動的に名前を呼んだ

部屋に入ろうとしていた成瀬さんは
驚いてこっちを見た

『…』

「あ…えっと、」

『見つかっちゃった。』

「え？」

『江口くんも入りますか？あ、仕事残ってます？』

「っいえ、もう終わりです…」

『じゃあちょっとお話ししませんか？』

悪戯がバレた様な顔をした後
俺を手招きして部屋に招き入れる

こんな状態で断るなんて選択肢はない

引き寄せられる様に成瀬さんに歩み寄り
部屋へ足を踏み入れた

『ようこそ、秘密基地へ。』

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