曖昧な彼女 (ページ5)

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彼女と会った日から1年
俺はまだどの現場でも常に緊張していたが

仲良くさせてもらっている安元さんがいる現場は
少し気持ちが楽で俺はその日機嫌良く現場へ向かった

集合時間の20分前

部屋に入ると目の前に
見たことのあるとんでもない美女が座っていた

どう考えてもこの場で浮いてる存在感

正面から顔を見ていないのにわかる美貌と
座っているだけなのに変わらぬ色っぽい雰囲気

部屋の入り口で扉に手をかけたまま
挨拶なんて忘れて絶句した

安元洋貴「見惚れすぎだろ笑」

「っ違います、！」

急に横から安元さんに笑われて
咄嗟にバレバレの嘘を大声でついてしまう

慌てて扉を閉めて挨拶をする

それでも俺は彼女が気になって視線を戻すと

「！」

『ふふ笑』

目が合ったその一瞬で
顔が赤くなった

安「…惚れるなよ？」

「惚れませんっ！挨拶しなきゃなって、」

安「…手に負える相手じゃないと思うぞ笑」

「えっ」

成瀬さんは何も言わず膝の上に開いた台本へ
視線を戻して集中し始める

完全に挨拶のタイミングを失ってどうしようかと
内心焦っていると見つめすぎたのか
再びこちらに顔を向けてくれたことで目が合う

「っ！」

『久しぶり、江口くん。
今日はよろしくお願いします。』

「〜っよろしくお願いします！」

覚えててくれたんだ

目が合っただけで吸い込まれるような感覚がして

何なんだこの人
顔の熱が全く引いてくれない

安「成瀬さんは江口と同じ事務所だよね。」

『そうです。』

安「2年ぐらいしか差がないし、やっぱり知ってたか。」

『私たち衝撃な出会い方してるので。』

安「なにそれ、」

『ふふ笑』

「…」

『江口くん？ずっと立ってないで、ここ座って？』

「っあ、はい！」

隣に座って顔を向けると俺を見ていたのか目が合って
ニコニコと可愛い笑顔を見せる

めちゃくちゃ良い匂いするし
近くで見ても顔が小さいし

去年会った時より破壊力が増してる

凄いドキドキすんだけど…

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