曖昧な彼女 (ページ33)

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『私のカフェラテ飲んだでしょ。』

「俺のお茶飲んだじゃん。」

静かな部屋によく通る声が広がって

間髪入れずに言い返した

『…』

「…」

『…』

「いや、いつの話だよ。だいぶ前じゃん。」

『あれって2週間前？』

「それぐらいか…、よく覚えてたね。」

『会ったら言おうと思ってたから。
なかなか会えないからやっと今日言えたよ。』

「執念を感じる。」

『江口くんだってお茶取られたの覚えてたじゃん。』

「俺は成瀬さんと違って、記憶力が良いから。」

『何それ、むかつく。』

お互いスマホゲームに夢中で
画面しか見てないけど淡々と続く会話

駅で再会して久しぶりのこの空間
妙な緊張感に落ち着かない

『ああ負けたっ！』

「っ、…あ！俺も負けたし、」

『もう1回頑張れ。』

成瀬さんの声に驚いたからなんだけど？

ソファから立ち上がって冷蔵庫を漁ってるし
俺が驚いたことに全く気付いてない

『でもちゃんとカフェラテ補充するあたり優しいね。』

「うるさ笑」

『そうだ、ツンデレになったんだった…』

「違うっての。」

『あ、トランプ持ってくるの忘れた。』

「トランプってまさか。」

『手品出来ない。』

「手品はお呼びじゃないんだよなぁ…。」

『結構驚くレベルなのに。』

「そもそも何で手品？」

『一芸持ってたら役立つかなって。』

「何目指してんの？笑」

俺のお茶もついでに取ってくれて
ゲームを終えた俺たちは

ソファから降りてラグの上に座った

「…アイス入れてあるよ。食べないの？」

『っうそ！？』

凄いスピードで冷凍庫開けてる笑

冷凍庫わざわざ開けないだろうし
気付いてなかったのか…

2年ぶりに駅のホームで成瀬さんに会った時
大人っぽくなったと思ったけど

それと同時に凄く痩せたなって思ったんだよな

元々太ってたわけじゃないし
食べること好きだったからこそ不安になって

頼むから
思う存分食べて欲しい

ダイエットしたくて痩せたとは思えなかったから

『江口くんありがとう！』

「いいえー、」

『いっぱいある！』

「好きなの食べなよ。」

うわ
あずきバー取った

冷凍庫を開けてすぐ目に着くように
わざと1番前の真ん中に置いたやつ…

「素直だな。」

『ん？』

「俺、ガリガリ君が良い。」

『はいはーい。』

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