曖昧な彼女 (ページ31)

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30. ページ31

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「…」

『おーい？』

「…」

『え、もしかして私のこと忘れた…？』

「…」

『おい！江口！』

「っ、はい。」

『ははっ笑』

反射的に声を出してしまったけど
思わずまじまじと見つめる

久しぶりだねと笑う成瀬さんは間違いなく本物

プライベートだと感じる服装で
俺の目の前に立っている

対峙した時の妙な緊張感も
目が奪われるこの感じも変わらない

成人したからか

大人っぽさが増して
更に色っぽいお姉さんになってる

それになんか…

『私仕事再開したの！』

「あぁ噂で聞いた、」

『そっか。』

「…」

『ん？』

「もう成人したよね。」

『そうだよ、22歳。』

「…遅くない？笑」

『え？』

「美味しい和食のお店、リスト溜まってるんだけど。」

驚いて目が見開かれてる

さすがに怖いよ
そんな目パッチリは

『本当？』

「うん。」

『全部行きたい！』

「全部？」

『全部！飲みに行こう！』

「強欲だなー。」

『美味しいもの食べたい笑』

「ははっ笑」

変わらない無防備な笑顔

咄嗟に目が合っていることが
恥ずかしくなり逸らす

「電車来たよ。これ乗る？」

『うん。1駅だけど、』

「俺も隣駅だよ。」

『ラジオ？』

「そう。」

日曜なのに珍しく
車両はガラガラ

約2年ぶりに会った彼女と駅のホームで再会して
同じ電車乗ってるこの状況シュールだな

『会話の中での約束だったのに覚えてたんだね笑』

「何が？」

『美味しい和食のお店。』

「成瀬さんが言ったんじゃん。」

『そうだけど、覚えてると思わなかった。』

「…たまたまだよ。」

『ツンデレ？』

「は？」

『この2年でツンデレキャラになったの？』

「何言ってんの笑」

『成長したなって。』

「だる。笑」

『私もこの2年で成長したよ。』

「へぇ。」

『うわ、興味なさそう。』

「…じゃあ何が成長したのか言ってみなよ、
絶対大したことないって。」

『手品が3つ出来るようになった。』

「はい、終了。駅着いたし。」

『ちょっと待って。本当に凄いんだから！』

「へーーーー。」

『信用してないでしょ！』

「手品て。いやいや手品て。」

『じゃあ今度披露するから、
どうやってるのか当ててみなよ！』

「余裕。」

『言ったな！？
当てられなかったらお菓子奢ってよ！？』

「お菓子で良いんかい。」

中身は何も変わってねぇな笑

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