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ぱったりと
成瀬さんを見なくなった
最後に会ったのは春が終わる頃
あれから1年経って
もう春が終わり夏が来ようとしている
現場でもあの部屋でも
まるで最初からいなかったように会わなくなった
彼女から仕事をセーブするって聞いていたとは言え
これじゃ辞めたのかと疑ってしまう
安「最近成瀬さん見なくなったって皆言ってるけど、
江口は本人から何も聞いてないの？」
「俺がですか？」
安「だって江口、成瀬さんと仲良かっただろ？」
「え…」
安「仲良さそうに話してるの何回か見たし。
距離もかなり近そうだったから。」
「そんな…、普通ですよ。
理由も知らないですし。」
安「…そっか。」
さすがにここまで会わない状態が続けば
誰だって【彼女がいない違和感】を感じてる
それでも誰も彼女の現状を知らない
皆そこまでの関係性じゃなかったと言うこと
声優業界では共通の認識
成瀬さんとは仕事でしか会えない
収録終わりにしかカフェやご飯に行けない
彼女の連絡先を知っている人は一人もいないから
安「江口、今日飲みに行く？」
「今日はバイトがあって…」
安「それは仕方ないな、また誘うわ。頑張れよ。」
「すみません。ありがとうございます。」
わかっていたはずなのに
現実を突きつけられた気持ちになる
仕事が終わってバイトまでの時間が3時間ほど
時間を確認して事務所へ向かう
現場とバイト先の距離を考えたら
家に帰るより事務所の方が近い
昼寝に最適だ
＿＿＿＿＿
＿＿＿
「…いない、よな。」
部屋には誰もいない
彼女が来なくなっても何も変わらない
「…」
開けた冷蔵庫の中は
俺がいつも飲んでるお茶が2本
彼女の好きなカフェラテもお菓子も入ってない
「寝るか、」
お茶を飲みたくて冷蔵庫を開けたのに
結局何も取らずに閉めてソファで横になる
昼寝がしたい
それ以外の理由なんてない
まだこのままで良いと
距離を取らずにいたのは自分だ
本当に
どうしようもないよな
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作者名：ayay1427 | 作成日時：2024年2月21日 14時
