曖昧な彼女 (ページ23)

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『次の現場どこ？私駅まで歩くけど。』

「今日はこの後バイト。駅まで一緒に行くよ。」

店を出てゆっくり成瀬さんに合わせて歩き出すと
またチラチラ視線を感じる

相変わらず彼女はもう春が終わるねなんて言って
全然気にしてない様子だ

俺は気を紛らわすように成瀬さんに話しかける

「仕事セーブするなら、部屋に行く機会も減る？」

『そうだね。』

「そっか。」

『江口君も最近来てないよね？』

「俺は一昨日だったかな、行ったよ？」

『そうなの？』

「昼寝したくて2時間ほどだけど。」

『すれ違いかー…、
最近来なくて寂しいなと思ってたところだったよ。』

寂しい？
成瀬さんが？

「寂しがり屋みたいな発言だな笑」

『意外と寂しがり屋だよ？』

「え……、じゃあ毎日あの部屋に行こうか？
一緒にご飯食べて、一緒にゲームして、一緒に」

『あ、結構です。』

「そんな死んだような目すんなよ笑」

『失礼、思わず。1人の時間は大事よ。』

寂しくならないわけじゃ無いだろうけど
寂しがり屋ではないと思う

成瀬さんは自立してるし
マイペースに1人で行動できる人だから

「それは同意見。」

『え？』

「ん？」

『いつも先輩達と飲みに行ってるから、
江口くんこそ寂しがり屋だとばかり…。』

「それは…、付き合いとか仕事とかあるじゃん。」

『そっか。』

「単純にお酒好きなのもあるけど。」

『じゃあ私が成人したら一緒にお酒飲もう。』

「秘密基地で？」

『そんなわけないでしょ笑』

「ははっ笑」

『美味しいお店に連れてって。』

「おー、任せろ。」

『期待してる。あ、和食ね！』

「はいはい、」

何気なくした約束

初めて彼女と交わした未来の約束

絶対忘れないしちゃんといいお店探すくせに
適当に返事したような言い方をした

「じゃあ俺バイトこっちだから。」

『頑張ってね。』

「成瀬さんも。あ、授業寝ないようにね笑」

『お腹いっぱいだけど頑張るよ！笑』

「しっかり自分でフラグ立てていくスタイルか。」

初めて外で会えたこの時間を

少しでも長く楽しめば良かったなんて

もう遅い

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