曖昧な彼女 (ページ21)

今日:5 hit、昨日:74 hit、合計:18,083 hit

20. ページ21

.

現場で会う彼女は
色気のある大人の女性だ

岡「多分そうです。」

木村良平「そうなの？知らなかった。」

柿「良平が聞いてなかっただけだよ笑」

『ふふ笑』

雰囲気と見た目で遠慮されがちだが愛想は良い
共演した先輩方とは節度ある距離感を保ってる

でも皆名字しか知らず成瀬さんと呼び
ちゃん付けで呼ぶのは同期の信彦さんだけ

たまに信彦さんが
成ちゃんと呼んでいるのも知ってる…

2人の先輩が去って
成瀬さんは信彦さんに声をかけた

『スタバの期間限定、もうすぐだよ。』

岡「覚えてるよ笑、収録終わりに行こう。」

『約束。』

岡「成ちゃん、先に飲んだら怒るからなぁ笑」

『怒りはしないよ？
その代わり奢ってもらおうとは思うけど。』

岡「それは怒ってるのと同じだよ笑」

信彦さんには先程の節度ある距離感は無いようで
関係を疑ってしまう距離感に変わる

普段のマイペースで生意気な彼女を知っているから

仕事場での成瀬さんは違和感があって面白い

『何笑ってるの？』

「っ！」

信彦さんも次の現場に向かったんだろう

気付けば成瀬さんしか残っておらず
ゆっくりと俺の隣に座った

『ニヤニヤしてた。』

「そうかな？」

『そうだよ。江口くんじゃなきゃ引いてた。』

「やば。」

『かっこよくて良かったね。』

「…！」

本当そういうの良くない

『聞いて。今日の靴下、右と左が違うの。』

「いや知らんわ。」

『誰かに言いたくて。』

「てか靴下見えないし。」

『今日土足禁止のアフレコ現場だったら終わってた。』

「それは…笑」

『家出る時に気づいたけど時間無かったからそのまま。
江口くんも気をつけてね。変に思われるよ。』

「今俺は成瀬さんを変だと思ってる。」

『嘘でしょ。酷い。』

「あなたからこの話始めたんでしょうが笑」

落ち着いたテンションのまま
いつも通り淡々としょうもない話が続く

『疲れた。帰りたい…。』

「今日、部屋は？」

『数時間後には＂お勉強＂があるから行けない。』

「あぁ、なるほど。」

『頑張れない…』

「じゃあ時間あるならパンケーキでも食べに行く？
たまには洋菓子も良いでしょ。元気出るんじゃない？」

『慰めがパンケーキ？
私のこといくつだと思ってるの。』

「見るたびお菓子食べてるくせに…」

『…』

「…」

『行こうか。』

「行くのかよ。」

.