曖昧な彼女 (ページ20)

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『あぁ、疲れた。』

「それ俺のセリフだから。」

さっきまでの騒ぎなんて無かったかのように
まったりとした時間が流れる

『春だから三色団子と悩んだけど、
今日はカステラの気分でした。本当に美味しい。』

「カステラうま。」

『美味しいもの食べてると幸せ〜。』

「わかるよ。」

小さい口でもぐもぐしてる姿はいつ見ても可愛い

ぽてっとした柔らかそうで形の良い唇が正直えろい
ていうか唇の横にあるホクロが余計…

やめよう

無心でカステラを食うべきだ

『ねぇ、今更だけど脚長すぎない？』

「ん？」

『膝立てて座って、膝がその高さってどういうこと？』

「えー…笑」

スタイルの話は
カステラ食べながら言うことかい？

『たまに江口くんの後ろ姿見ると
あまりにも脚長くて細いから膝カックンしたくなる。』

「絶対やるなよ？」

『…フリ？』

「違うわ！笑」

『でも膝カックンして江口くんがそのまま倒れてきたら
後ろにいる私は確実に死ぬよね。』

「そんな命懸けなら尚更やめなさいよ。」

『だっていつも余裕そうな顔してるじゃん。』

「え？」

『アフレコ現場以外。』

「良くないよ、それは。」

『だから余裕を失った顔にさせたい。』

「何言ってんの？」

『痛がってたり泣きそうな顔なら最高。』

「ドSか。」

『……、冗談だよ。』

「なんだ今の間。」

『ちょっと想像した。』

「は？」

『意外と悪くないね。』

「っ、」

『怒んないでよ、』

「怒ってない、バカだなと思っただけ。」

『酷いなぁ笑』

生意気すぎない？
俺が年上だってこと忘れてるだろ

て言うか意外と悪くないって何だよ
いたずらっ子みたいに笑って可愛いからって…

そんなことで不意をつかれるほど純情じゃないだろ
なんで俺こんなにドキドキしてんの

「…むかつく。」

『え？』

人の気も知らねーでカステラ食べてるし
ほっぺた膨らんでんじゃん

「…ちょっと待て。それ俺の分のカステラじゃない？」

『ぼーっしてんのが悪い。』

「ふざけんな笑」

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