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考えるより先に口が動いた
こんなつもりじゃなかった
本当は淡々と終わらせたかった
呆気ない方が諦められると思ったから
「沢山傷つけて、」
それなのに
今更私を好きだなんて
彼女は私だなんて
「嫌いって言わせて、ごめん。」
ぐちゃぐちゃな私の気持ちは
どうしたら良いのよ
『…!』
繋がれていない手が
私の頬に優しく触れる
「やめないで、好きでいてよ…」
頬にあたる拓也の指先から
震えているのが伝わってくる
「俺の彼女はレイだろ…?
甘やかしたいのも、可愛いと思うのも、
全部レイしかいないから…っ!」
『…、』
「レイが好き…」
『っ、』
「今更でごめんっ、…でも好きなんだよ!」
頬に触れてた手が頭に回って
ゆっくり抱き締められる
『…ずるい、』
逃さないと言わんばかりの抱きしめる強さも
安心して離れられなくなる優しい匂いも
怖がったような震える声も
全部今更なのに
その全てに溶かされて
結局私はこの人が好きなんだ
『拓也が何を考えてるのかわからなかった…』
出会った時から
ずっと
『聞けばよかったのにね。』
泣かされても傷つけられても
拓也を信じたい気持ちがあったのに
それでも怖かった
『勇気がなかったの、だから…』
抱き締められた腕を
優しく離す
『私もごめんね。』
「待っ、」
『…』
「っ!」
私から初めて
唇を重ねた
『…好き、』
「っレイ、」
『ずっとそばにいて、』
もう一度
触れるだけのキスをする
『離れないで…』
「、」
『私だけ愛して…』
「〜っ、!」
傷ついた分も全部抱きしめて
私をあなただけで満たして
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作者名:ayay1427 | 作成日時:2023年12月31日 14時