総じて言葉足らず (ページ21)

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20. ページ21

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「何か怒ってる？」

『怒ってないよ。』

急に家に来た拓也を追い返せなかった私は

お昼に見たあの光景が頭から離れない

ダメだ

これ以上拓也を見てると
お昼の女の子のところに行けばと言ってしまいそうで

そんなこと言ったらバカにしたように
彼女でもないくせにって言うだろうから

言いたい言葉を全て
目から溢れ落ちそうになったそれと一緒に飲み込んで

『本当に何もないよ。』

「…」

気付いた時にはもう遅い

感情を抑えることが出来ず若干声のトーンを間違えた
些細な違いだが拓也なら絶対気付く

空気を悪くしたのは私だと軽く自己嫌悪に陥り

すぐにスマホを触っている拓也から背を向けて
もう寝るねと寝室に逃げた

傷つく前に私から最後にしようと言えばいいと
わかってはいるのに

まだ私の中で想いは消えてくれない

眠気がやっと襲ってきた頃に
拓也の腕が腰と首に乗せられた

『…おもい、』

「あ、起きてた？」

『いま起きた、』

すると拓也の腰にあった手が
そのまま服の中に

『っにして、！』

「…だめなの？」

『…だ、め』

「…本当に？」

またこうやって目が合えば

彼の思うまま

離れるための心の準備なんて
全然できない

私だけのものにならないあなたを

大嫌いだけど

大好きなのよ

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