総じて言葉足らず (ページ15)

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目の前に差し出された鍵

「え、」

『いらないなら、別に良い』

「っいる！」

『…、どうぞ。』

俺の掌に乗せられたレイの家の合鍵

あんなに欲しがっていたとは言え
実際こうも簡単に渡されると

思わず確認してしまう

「本当に良いの？」

『うん、』

「…ありがとう。」

『ん、』

レイは照れて目線を逸らした

え

何それ

最近までの悶々とした気持ちなんて
合鍵1つで綺麗に吹っ飛んだ

可愛すぎる

なんだよ

俺ちゃんと好かれてんじゃん

『えっと、…っそうだ、アイス買ってきたの。
拓也も食べるでしょ？持ってくるね。』

慌てて逃げるように冷蔵庫へ向かい
アイスを取り出しスプーンを持って戻ってくる

『はい、拓也の分、』

「…、」

『…こっちが良かった？』

「いや、」

『そう？』

レイは隣に座ってアイスを食べ始める

俺に渡されたアイスは
いつも俺が好きで選ぶやつ

レイの優しさにニヤニヤする
今日めっちゃ良い日じゃんとか思う単純な俺

『っ！…何？やめてよ、』

「何って、…愛情表現？」

今日珍しくミニスカートを履いているレイ

スルッとむっちりとした太ももの間を指でなぞる

『…、』

「顔真っ赤じゃん、」

あぁ本当に可愛い

その恥ずかしそうな顔も

全部俺が

独り占めするんだ

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