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『ここ置いとくね。』
「…、だめ。」
24時頃に怖い顔で帰って来た江口さんは
シャワーを浴びてそのままベッドへ
少し酔っているようだったから
水をサイドテーブルに置いて離れようとすると
身体を掴まれ引っ張られる
今日は機嫌も良くないし放っておこうと思ったのに
後ろから抱きしめられて動けないまま
「…明日仕事ある?」
『あるよ。』
「…何時に帰ってくる?」
『家に着くのは23時かな。』
「…そっか。」
『江口さんは?』
「…俺明日19時に帰ってくるよ。」
『いつもより早いね。』
「…」
私の身体に巻きつく腕の力が強くなる
私は江口さんを支えてあげられているのかなって
ふと思う時がある
「ずっと葵さんと一緒にいられたらいいのに、」
『え…』
「俺と、葵さんだけ、ずっと…」
江口さんは悩んでも相談しない
でも本当に辛くなったらこうやって
私に抱き着いて静かに泣く
江口さんの頑張りや積み重ねた経験を
少しでも否定したくなくて私は何も言わない
少し腕を緩めてもらって向き合い
抱き着いてみる
私は江口さんに何をしてあげられるかな
『江口さんが江口さんを大切にできなくても、』
「っ、」
『私が大切にしてあげるよ。』
大きな身体を小さくして
私に寄りかかるあなたを守ってあげたいんだよ
「…じゃあ俺は葵さんを大切にしなきゃね、笑」
『ふふ笑』
「葵さんは、俺のワガママ聞いてくれるの?」
『もちろん、』
私にはあなたが必要だから
あなたが望むなら何でもしてあげるよ
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作者名:ayay1427 | 作成日時:2023年10月21日 14時