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江口side







打ち上げの翌日


勢いよく店に入ると
いつもの席に座る葵さん



蓮くんには目もくれず
葵さんのところまで足を進めると

グラスを片手に持ったまま
泣きそうに笑って俺を見る









「葵さん、」


『江口さん、この前はごめんなさい。
凄く酔って迷惑かけちゃって、』


「葵さんっ、」


『…』


「…昨日の打ち上げにいたよね?」


『…』


「俺と目、合ったよね?」


『…』








目は逸らさないくせに
何も話さない







「葵さんは、」


『…だめ、言わないで、』


「…どうして?」








何を考えてるのかわからない

そんな顔をする必要なんてないだろ



似てるって勘違いしたのは俺で
隠してたのかなんて思ってない

職種的に隠してしまう気持ちも理解できる


俺だって言わなかったし
俺の意思で葵さんの仕事を聞かなかった

何も知らないこの距離感が
心地良かったんだ












『飲んで…』


「え、」


『帰らないで…っ、
いつもみたいに…ここで他愛もない話しよう、?』







思わず俯いた俺が帰るとでも思ったのか
焦ったように細い指で俺の服掴む


そんなことするくせに










「酷いな…」


『っ、』


「俺は嫌だよ、ここでしか会えないのは。」


『え…?』


「葵さんは俺にとっての癒しで、会えないのは寂しい。

俺には葵さんが必要なんだよ、」






泣きそうな葵さんの手を握る






「だから俺も
葵さんに必要としてもらえる男になりたい。」




『……本当?』


「うん」


『そんなの、信じられない。うそついてるの?』


「なんでそう思うの。」


『だって江口さん声優さんでしょ。
きっと嘘も上手…
江口さんは優しいから…』







戸惑っている葵さん


堪え切れない気持ちをごまかすように
葵さんの手を握る右手に力を込める







「確かに職業は声優だけど、プライベートで
こんな恥ずかしいこと言うわけないでしょ。」


『…』


「…葵さん、俺と会えなくて寂しかった?」


『っ!』


「俺の手、好き?」


『…ん、』


「ははっ笑」


『ずるい、』


「俺のこと好き?」


『………好き、』


「、俺も好き。」








可愛い


ずっと俺の手を握ってて








.

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作者名:ayay1427 | 作成日時:2023年10月21日 14時

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