tonight.3

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そうしてるうちに、
ノックの音が聞こえた。





スタンバイお願いします、って。









「呼ばれたよ、」




「意外に早かった…………、」







この後が長くなるみたいで
肩を落としてる。






「私は今日はもう上がるけど、」





「は？ズル〜い。」




「がんばって、」




「ふざけんな〜」






だらだらと椅子から立ち上がって
ふてくされてる。







「ほら、早く行かないと…………」






ノロノロ歩く
背中押そうとすると、









「さっさと俺の彼女になれ。」






いつのまにか
ぎゅう。って






「なれないよ、今さら」




「なんで。」




「………他の候補にしてよ、」




「今候補ゼロ。お前だけ。」




「なんでこんなときに言うかな………、」





はやくしないと呼ばれるよ、





「ねえ、俺Aに
何回好きって言って
何回振られてると思う？
なかなかかわいそうな回数だと思うけど。」





「それは、そう、だけど…………」









「こうやってキスするのはいいのに？」



「………っ、だから、呼ばれたって…………、




「今日うちで待ってて？」



「………っ、行かない、って」



「じゃあここで続けちゃおうかな。」









ガチャ、








「………………………あ、あの」








そこにいたのは、瑞穂さんで。









「なに？ノックするでしょ普通。」




冷たく言い放ったのは裕太で。








「ごめんなさい、
スタッフさんが呼びに行くって言ってたから
代わりにきたんだけど………………」






瑞穂さんがゆっくりと
視線を寄越したのは私で。









それに気づいた裕太が、





「…………じゃあおつかれさま。
今行くから、」









楽屋を出ていった。






瑞穂さんも、







「じゃあ、おつかれさまです、」






私に挨拶して
後を追うようにして、
裕太の後ろを付いていった。








スタジオへの廊下をを歩いてく二人









「裕太、ごめんね」


「いいとこだったのに」


「…………Aさんと付き合ってるの？」


「俺が好きなの。」


「そうなんだ………、でも


「関係ないから、瑞穂には。」









そんな会話が聴こえてきて。









声が遠ざかった頃、

最後にこちらを振り返った瑞穂さんが

すごく冷めた目で私を見てた。

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