とある少年と男の物語 ページ10
「ただいま帰りました。九条さん。」
清潔感のある、白を基調とした…無駄なものなど一切置かれていない、無機質な一室。
そこに、九条 天は仕事を全て終えて帰宅した。
「おかえり、天。」
仕事から帰ってきた天を出迎えた男…
天の養父である『九条 鷹匡』は何やら古いデータらしきものに目を通しており…
「…何を、読んでいらっしゃるんですか？」
天は少しの好奇心から彼に尋ねると…
彼は苦笑して、少し懐かしそうに遠くを見つめ…しばらくしてから、悲しそうに応えた。
「かつて…ゼロに最も近しいアイドルを育てていてね。その子のデータが出てきたから、読んでいたんだ。」
「っ！」
天は思わず、目を丸くする。
かつて、伝説のアイドル『ゼロ』のマネージャーを務め…その活躍を真近で目にしてきた九条。
ゼロが消え、1人残された彼はゼロを超える逸材を育成し、本当にゼロを超えさせることを夢見ている。
天もまた、九条に選ばれた逸材の1人だ。
しかし…彼の元に来て早くてもう5年にもなるが、『ゼロに最も近しい』などという評価を受けている逸材にあったことが無い。
驚くのも無理ないことである。
「…九条さんが、お嫌でなければ…そのアイドルについて、教えていただけませんか？」
故に、天は尋ねた。
その人物がどのような人物なのか。
それに少し悩むような素振りを見せつつ…
「構わないよ、天。…最後がどうであれ、君が彼から学ぶことは多いだろうからね。」
九条はいつにもなく幸せそうな表情をして語りはじめた。
とある少年の物語を。
少年は、突如…絶望していた九条の前に現れ…
その圧倒的な才と、その優しさで九条の心を満たし、暖めたのだという。
そんな彼はすぐに養子として迎えられ…九条の夢を叶えるべく邁進。
あと少しで九条の理想そのものとも呼べるアイドルになるところまで来ていたその時…
彼は、姿を消した。
��ゼロを、本当に超えられる逸材になれたなら…必ず貴方の元へ戻ります��
とだけ…書き置きを残して。
「…あの子は未だ、僕の元には帰って来ない。それが答えだよ。」
「彼もまた、ゼロと同じで…僕を裏切ったんだ。」
「天…君も、彼のアイドルとしての力に憧れるのには一向に構わないけれど…彼のようになってはいけないよ。」
全てを語り終え…諦めたように、そうしめくくった九条。
「…はい。九条さん。」
天には、未だ諦めきれていないようにしか聞こえず…
その少年が、九条の元に戻って来てくれればと思った。
その少年の正体も…行方すらも知れずに。
終わり
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ポテチ(プロフ) - 月さん» 良かったです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年11月14日 17時) (
レス) id: ddf2424aad (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - ポテチさん» 確認できました！ありがとうございます！直ぐに訂正しますね。ご報告ありがとうございました！ (2018年11月14日 17時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
ポテチ(プロフ) - 「出口のない迷路」の最初の方に「IDLISH7」ってあると思うんですけど、そのスペルの「IDOLISH7」の“O“が抜けてしまっていると思うんですが…。分かりにくくてすみません。分からなかったらまた聞いてください！ (2018年11月14日 17時) (レス) id: ddf2424aad (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - ポテチさん» 作風が好きだと言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年11月14日 17時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - ポテチさん» すみません…確認してみたのですが、どこの部分で間違えているのか発見できませんでした。どの辺りで間違ってるとか教えていただけないでしょうか？大事なグループ名を間違えるなんて作品に失礼極まりないので… (2018年11月14日 17時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
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