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操り人形13 ページ15

「……」




また、やって来てしまった。




今、私は教室のドアの前にいる。




夏油さんに連れてこられてしまったのだ。あの胡散臭い笑顔に気圧されて。





夏油「…入らないのかい?」




「…お先に、どうぞ」




夏油「そしたら君が部屋に戻ってしまうかも知れないだろう」




「……そうですね」





どうやら逃げることは許されないようだ。




私は覚悟を決めて、ドアに手をかけ開けた。






五条「あ、そういや傑は?」




家入「さあな」




鈴勿「遅いね……あ」






ドアを開けてすぐ、真っ先に鈴勿が気がついた。
彼女は私を目を細めて見ると、立ち上がり、私の目の前にやってくる。





鈴勿「Aさん…あの、話って何?」



「…え?」





話?





不思議に思っていると、鈴勿が私にしか見えないように小さく口を動かす。





“合わせろ”と。





ああ、そういうことか。





私はパッと笑顔を見せる。






「…あーうん!ちょっとあっちで話してもいいかなぁ?」




鈴勿「うん…っわかった」





笑顔を見せた私に対して、鈴勿は顔を歪めて、怯えるような仕草をした。



すると、席に座っていた五条さんがガタンと音を立てて勢いよく立った。





五条「おい!お前何鈴勿を連れてこうとしてんだよ!?」




夏油「悟ーー」






夏油さんが五条さんに近づいて抑えるも、それを振り切ってこちらに駆け寄ってきた。そんな五条さんを鈴勿が制止する。







鈴勿「大丈夫だよ」






口は弧を描いているも、その身体は震えている。





その姿は、勇気を振り絞って虐めてきた相手に立ち向かおうとしている女の子に見えるだろう。





それを見て、五条さんは言葉に詰まっている。





まんまと鈴勿の演技に騙されているみたい。





まぁ、そうだよね。だって、鈴勿は術式を使っていても、呪力の流れが変わらないんだもの。






ーーそう、彼女は術式使用時も、呪力の流れが変わらない体質を持っているのだ。だから周りに悟らせず使用することができる。





つまり、私が操られていることを誰にも悟られない訳だ。





例え五条さんの六眼でも見抜くことはできない。






鈴勿「皆、行ってくる。………行くわよ」




「はい…」





そう小声で囁かれ、私は鈴勿の思う通りに教室を出た。













ーー私は今日も操り人形




術式にかかっていないのに、彼女に従っている。

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AО777 - しろりんさん» 鈴勿には事の重さを知り、後悔してもらおうと思い、このような結末になりましたがスッキリしていただけたようで何よりです!お読みいただきありがとうございました…!! (12月30日 15時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - 夢主ちゃん…幸せになれて…五条くんとも順調に和解してるみたいで良かった…。🤭…鈴勿は記憶が消えなくて正解ですね…夢主ちゃんにあれだけ酷い事したんだから因果応報は当たり前だよ…後悔してるの見れて…スッキリしました…。(´o`) (12月27日 21時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
まり - 1が読みたいです! (12月11日 23時) (レス) @page44 id: 0e8e58c55c (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 1が読みたいです!! (12月10日 14時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 2が読みたいです! (12月9日 22時) (レス) @page44 id: dc2461d50b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AO777 | 作成日時:2023年11月11日 20時

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