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ｰアヤｰ
その時のことは今でも忘れられない。
「幼なじみだったそうなんです。極秘で、お互いに売れ出した頃だったから、絶対にバレないよう最新の注意を払っていた。
でも、撮られてしまった。」
《ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、…》
《ミオリ、そんなに君が謝ることない。僕が何とかするから。記者に直談判する。》
《別れますっ…絶対にもう会いませんっ…。》
《それでいいの…？》
《リーダーとして、責任を取ります。今、グループに迷惑をかける訳にはいきません。
2人の頑張りを無下にはできません。》
涙を流しながら社長に話すミオちゃんに、胸が痛くなった。
《本当にごめんなさいっ…》
《ミオリ、…》
その記事をどうやって消したのか分からない。
でも、結局それは世の中に出回らなかった。
「ずっとずっと2人で支え合ってきたそうです。」
ﾅﾅ「そんなの、私たちには一言も…」
「言えなかったんですよ。」
ﾅﾅ「っ、」
「だって、彼女はリーダーだから。」
ﾅﾅ「そんなの、リーダーとか関係ない！」
「分かってます。私たちはそう思ってます。でも、みおちゃんは違ったんです。
彼女にとってリーダーという肩書きは私たちが思うよりもっともっと大きなものだったんです。」
みおちゃんは滅多に泣かない。
悩みを決して私たちの前では話さない。
恋の話なんてもってのほか。
「約束したそうです。いつか、堂々と2人で街中を歩こうと。」
ﾅﾅ「っ、」
「公開しても誰も文句を言えなくなるくらい頑張ろうと。
それまでは連絡をしないと。」
でも。
ﾅﾅ「でも去年…」
「彼は待てなかったのでしょうね。」
そう、きっと待てなかった。
アイドルはそう簡単に恋愛できない。
絶対に変なお酒の飲み方をしないみおちゃんがものすごく酔って帰ってきたことがあった。
今でも鮮明に覚えているのはきっと最初で最後かなって思ったから。
「みおちゃんが一度ものすごく酔っ払って帰ってきたことがありましたね。」
ﾅﾅ「えぇ。覚えてるわ。印象的だったから。まさか…」
「はい、彼が結婚を発表した日です。」
ﾅﾅ「っ、、なんでっ…」
その日ですら彼女は何も私たちには言わなかった。
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月8日 21時
