197 ページ47
ｰテヒョンｰ
「ほぼ毎日ですよ。
日替わりであの3人を抱きました。」
なんて愚かなんだろう。なんて馬鹿なんだろう。
こんな話を聞けば誰でも恋心なんて冷めていく。
でも、止まらなかった。
「…彼女たちは仕事も全部身体を使って取りに行ってるんです。それ知った時、なんかもうどうでも良くなっちゃって。
実力で頑張ってきてるから、いつも我慢してるんだからって…そう思えたからまだ耐えれた。でも、違った。
だから、辞表を叩きつけてやめました。」
《あんた行くとこあんの？》
《私らの言うこと聞いとけば安定した給料貰えるのに〜》
大きな声で事務所内で騒ぐ彼女らにくすくすと笑うスタッフたち。
だから盛大に言ってやったのだ。
《だから下級アイドル止まりなんだよ。》
その一言に社内は静まり返り、俺は振り返らずにまっすぐ事務所を出た。なんでもっと早くこうしなかったんだろうって思った。
「忘れたかったけど、しばらくは忘れられなかった。どこを触ればどんな反応をするのか。気持ち悪いくらい覚えてた。」
鳴き声も、話し方も全部全部俺を縛り付けた。
でも、
「アヤさんは…俺をアヤさんで染めてくれます。
アヤさんのこと好きだから、あなた以外もう抱けない。」
こんなこと言ったってなんの気休めにもならない。
分かってるけど。それでも伝えずにはいられない。
「……気持ち悪いですよね、俺。」
話せば話すだけ自分が気持ち悪い。
この手も、指も、全部気持ち悪い。汚い。
アヤ「……綺麗ですよ。」
「そんな訳、」
アヤ「…この綺麗な指できめ細かいスケジュールを作ってくれた。
この綺麗な手で私の涙を拭ってくれた。抱きしめてくれた。
過去は消せないけど、大事なのは、今とこれからだから。」
「っ、…」
アヤ「…辛いこと、しんどいこと、きっと私には計り知れないけど、でも、全部が全部無駄じゃないと思うから。
あなたの歩いてきた道のりは、間違ってない。」
「なんでっ……」
気持ち悪いに決まってる。
汚いに決まってる。
なのに、なんで彼女は。
アヤ「あなたが苦しむ過去も全部含めて、
あなたを愛してるから。」
「っ………」
初めて、自分を許せた気がした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月8日 21時
