186 JUNGKOOK ページ36
ｰジョングクｰ
「目閉じてください。………はい、OKです。」
アヤさんに一番似合うリップを仕上げに塗れば完成。
少し屈んでアヤさんの身長に合わせる。
「アヤさん、」
アヤ「…？」
至近距離にいる彼女を静かに見つめる。
「昨日の夜、テヒョンイヒョンといましたか？」
アヤ「っ……どうしてですか。」
「…匂います。」
アヤ「いつの間に犬になったんですか。」
「わんわん。って、じゃなくて。」
困った様な表情をする彼女。
そんな顔すらとても綺麗だった。
「アヤさん、ヒョンのことどう思ってますか。」
あまりキツくないけど、これなら誤魔化せるだろうと思う香水を手に取り、シュッと彼女の手首に吹きかける。
アヤ「…どうって、マネージャーです。」
「一緒に寝ておきながらですか。」
アヤ「ジョングクさん…」
俺の言葉に泣きそうになるアヤさん。
ごめんなさい。意地悪をしたい訳じゃないんです。
「…うん、これなら大丈夫。」
近付いてクンクン匂う。
すると、
「アヤさん…？」
何故か、彼女は泣いていた。
「あぁ、メイクが…」
タオルを手に取ってポンポンと頬を優しく叩く。
アヤ「最低なことしてる自覚はあるんです…」
「アヤさん…」
アヤ「私みたいな人がテヒョンさんとどうこうなったらダメだって分かってるんです。
でも、…あの優しさにどうしても抗えなくてっ…」
彼女は彼女で苦しんでいる。
アヤ「テヒョンさんも突然離れていってしまうかもしれない。」
よれたメイクを治す手が止まる。
ギョンスさんとのことがトラウマになっていることを初めて知った。
アヤ「もう、あんな思いしたくないっ…」
「っ、、」
我慢して我慢して、それでもこぼれる涙を拭き取る。
「アヤさん…」
数センチ先にある彼女の顔は儚くて、綺麗で。
言葉を続けようとした時、近くからテヒョンイヒョンの声がした。
ﾃﾋｮﾝ「メイクってそこまで近付いてやるもの？」
ヒョンの不満そうなその声は明らかに俺に向けられたもので。慌てて泣いてる彼女を自分の着ていたジャケットを被せて隠した。
「ヒョン、あっち行って。仕事して。」
ﾃﾋｮﾝ「おい、」
「メイクって色々することあるんです。」
ﾃﾋｮﾝ「…15分後アヤさん出るから。」
「わかりました。」
.
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月8日 21時
