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ｰアヤｰ
私はいつも自分のことばかりだった。
大事なことには気付かない。
自分が傷つくくらいなら気付こうともしない。
『え、Giftのアヤさんですか？』
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はいっ…」
息を切らしてやってきた私を怪訝そうに眺めるスタッフさん。
走ってやってきたのは、勘弁して欲しい。
一刻も早く事実を知りたかった。
どうしようかと悩んでいるスタッフさんを見て段々後悔が襲ってきた。そんな時。
『アヤ………？』
もう、何年も恋焦がれていた相手の声が聞こえた。
「ギョンス、オッパ…」
彼のすぐ近くにはEXOの他のメンバーがいた。
彼らは少し気まずそうな顔をしていたけれど、ぼんやりと笑顔を浮かべていた。
ｷﾞｮﾝｽ「…どうしたの。」
「話したいことがあります。」
ｷﾞｮﾝｽ「今？」
「はい。」
ｷﾞｮﾝｽ「メンバーは？」
「いても構いません。」
ｷﾞｮﾝｽ「こっち来て。みんなも。」
きっとそれは2人きりにならないようにするための予防線。
案内された小さな部屋は見覚えがなかった。
思い思いの場所に移動したメンバーの皆さん。
私はギョンスオッパの1番近くに座る。
「真実を全て聞きました。」
ｷﾞｮﾝｽ「っ……真実。」
「ナナさんがあなたに言ったんですね。」
ｷﾞｮﾝｽ「ナナを恨むのはお門違いだよ。」
「知ってます。恨んでないです。ただ、」
ｷﾞｮﾝｽ「…ただ？」
「あなたが私を好きでいてくれていたか。
私のためを思って連絡を絶ったのか。
それだけをはっきりさせたくて来ました。」
ｷﾞｮﾝｽ「っ………」
要するに、ただの自己満足だ。
自分の心を守るための。
涙を流した日々は無駄じゃなかったと思うための。
彼は、しばらく唇を噛み締めて黙り込んだ。
私の勘違いかもしれない。
でも、それでも良かった。
いや、その方が良かった。
それなら、自分だけが苦しんでた、ってことが事実だって分かるから。
そうじゃないと。
ｷﾞｮﾝｽ「……好きだったよ。ずっと。
あの夜、僕たちの宿舎に駆け込んで来たアヤを見て、自分を責めた。
守れないくせに何してんだって。
ナナに言われて、その通りだと思ったんだ。
僕は、君の隣にいるべきじゃない。」
「っ、、」
"私だけが苦しんでた"って。
なんて愚かだったんだろう。
.
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月8日 21時
