愛おしなんどもおろかなり Ⅱ (ページ39)

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ｰテヒョンｰ

ﾅﾅ「売れてないアイドルのどこがいいのよ。」

吐き捨てた彼女にハッとする。
まさか、まさか。

ﾐｵﾘ「ナナ、言い過ぎ。」

アヤ「…なんかあったんですか。」

すかさずアヤさんが聞くと、ナナさんは少し黙る。

ﾅﾅ「私らの足元にも及ばないヨジャドルがドユルと連絡取り合ってんの偶然知っちゃった。

何だっけ。セクシー路線のやつ。
私名前すら知らないグループなんだけどウケる。」

不安が、嫉妬が。
彼女の高飛車な発言を生んでいるのだろう。

大丈夫だと、自分の方がその女より勝っているのだと、必死に言い聞かせている。

ちょうど宿舎に着いた時。

「早めに切ったらどうですか、その男。」

なんて。俺は何を言っているんだ。

無言の空間が酷く苦しい。

着きましたよ〜と元気に言うつもりだったのに。

ﾅﾅ「バカ言わないで。」

涙目で俺を睨む彼女の言葉にハッとした。

「すみま…」

謝罪すら聞いて貰えず、彼女は車を降りていった。

ﾐｵﾘ「…あなたもナナに負けず劣らずね。じゃあ、ありがとう。」

アヤ「…、ありがとうございました。」

3人が出て行った車に1人深いため息を着く。

「やらかしたーっ、」

そんな軽い気持ちで付き合ってるわけじゃない。

それを俺たちはよく分かっているはずなのに。

明日、朝イチで謝ろうと決意して車を降りた。

夜、ベッドに入ってふと思う。

ナナさんはきっと近い将来傷つく。
事実を知ってしまう。

その未来が近いことを瞬時に悟った。
だからこそ出てしまった今日の失言。

「…あーもう！」

ドユルさんを恨みたくなる気持ちを抑え込む。

当事者でない俺が彼を恨むのは違う気がした。

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