53 KYUNGSOO ページ3
ｰギョンスｰ
───Giftアヤ、日本へ。
ざーっと流し読みしていたネットニュースのひとつに目を止める。
いつだって僕の目は彼女の名前を見逃してはくれない。
日本のドラマへの出演が決定したらしく、しばらく日本で過ごすと書いてある。
奇遇にも僕達も日本でのライブを控えていて。
「会えるかな。」
淡い期待を抱いた。
「ギョンス、」
そんな時、やって来たのはユラヌナ。
僕達のメイクさん。
僕の、昔好きだった人。
ﾕﾗ「いいお店見つけたの。良かったらオフの日一緒に行かない？」
「オフの日があれば。」
ﾕﾗ「…避けてる？」
「どうしてですか？」
ﾕﾗ「前は気軽に予定空けてくれてたじゃない。」
そうかもしれない。
僕は以前、盲目的にこの人に惹かれていたから。
でも今は。
「察してもらえてるなら助かります。」
心の中にいるのは、ただ1人だから。
ﾕﾗ「あの子が良いの？」
「…。」
ﾕﾗ「見たでしょこの前。男といたじゃない。」
「ユラヌナには、関係ないです。」
そのまま部屋を出た。
ｼﾞｮﾝﾃﾞ「お、どうした？」
「僕も歌う。」
ｼﾞｮﾝﾃﾞ「そっか。」
君との繋がりはやっぱり歌だから。
授賞式。誰よりも輝いていたアヤ達3人。
男性アイドルは皆うっとりと彼女らを見つめ、女性アイドルは羨望と嫉妬の眼差しを向けていた。
業界人は皆、Giftの隣に並ぶことをしたがらない。
自分たちが霞んでしまうから。
でも、僕達だけは許されていた。
同等の立場にいると見なされていた。
あの頃は。
今となってはきっと、どこの誰よりも彼女たちから遠い存在なのだろう。
僕が、アヤを裏切ったから。
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年3月29日 11時
