愛おしなんどもおろかなり Ⅱ (ページ14)

今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:58,901 hit

64 ページ14

ｰテヒョンｰ

「俺、足を引っ張ってばかりなんです。」

アヤ「メイクのことですか？」

「ああ、知ってるんですね。」

アヤ「ジョングクさんがすごく喜んでたから。」

「でも、俺にはできなかったです。」

アヤ「…そうなんですか？」

「迷惑かけてばかりで。2人の邪魔しかしてない。

いない方が良いって言われました。」

アヤ「…ジミンさんに？」

「…はい。」

弱音を吐けば、止まらなくて。
この言い方だとジミンのことをアヤさんに言いつけてるみたいだと、自分に呆れる。

アヤ「…ジミンさんはジョングクさんが来るまでずっと1人でGiftを支えてくださってたんです。

デビュー当時からずっと。」

「そう、何ですか…。」

アヤ「売れない時期もジミンさんが、ビジュアルは任せてって。どんなにコンディションが悪くても最高の顔にするって。

有言実行ですよ。彼はいつだって私たちを輝かせてくれた。

ジミンさんのメイクノート見た事ありますか？」

「…いいえ。」

アヤ「一度見せてもらうのもいいかも知れないです。

ぎっしりですよ。私たち3人のことが隙間なく書かれています。彼の努力の結晶です。」

「…。」

静かに言葉を紡ぐアヤさんが言わんとしてることはわかった。

アヤ「ジミンさんは本当にプライドを懸けて私たちのメイクをしてくれているんです。

だからこそ、テヒョンさんに少し思うことがあったのかもしれません。

でも、決してテヒョンさんそのものを否定してるわけじゃないんです。それをどうか分かってください。」

「…分かってます。」

わかってる。そのうえで傷ついてしまったのだから。

アヤ「でも、テヒョンさんも辛い中頑張ってくれたんですよね。メイク。」

「え？」

アヤ「…ちょっと経験したことがあるってだけで社長に無理矢理やらされたのでしょう？」

「…えっと、まぁ。」

アヤ「良いんですよ。たまには逃げても。

責任感の強いあなただからこそ引き受けるしかなかったのでしょうけど。」

優しい物言いに心が救われる。

アヤ「それに、テヒョンさんがメイクの御二方の役に立ちたいと思って引き受けたこと、おふたりともきっとわかってますよ。」

「でも結果的には邪魔ばかりした。」

アヤ「テヒョンさんはマネージャーのプロであってもメイクのプロじゃないんですから当たり前ですよ。

大丈夫ですよ。」

できないことを否定しない彼女に、今すごく救われた。

.