愛おしなんどもおろかなり Ⅱ (ページ1)

今日:5 hit、昨日:12 hit、合計:58,905 hit

51 ページ1

ｰテヒョンｰ

「っ、、」

『やっぱテテだぁ！』

『久しぶり〜！』

キャピキャピと馴れ馴れしく俺の隣に駆け寄る2人の女に虫唾が走る。

『ねぇ〜何してるの〜？』

「仕事ですよ。」

『ふぅーん、てかGiftのマネしてんだって？』

「はい。」

『ふぅん、私らの事捨てて売れてるアイドルの方に言っちゃったんだ？』

「…。」

返す言葉が思いつかず口ごもる。
早く戻りたい。

この人達といたくない。

「マネージャーさんはどこにいるんですか？」

『もう来るわよ。』

ひとりが指さした先は女性の御手洗。
そこから周りを気にしながら出てきた1人の男性。

ベルトをカチャカチャと直している。
ああ、そういう事ね。

きっと少し前まで御手洗の個室でこの2人の相手をしていたんだろう。

よく見れば2人の服装も少し乱れているから間違いない。

「失礼しても？」

『たまにはテテも相手してよ〜！』

「もう俺はあなたたちには関われないので。」

授賞式という神聖な場でそういう淫らな行為を一時の快楽の為に行うこいつらがGiftと同じアイドルだなんて信じたくない。

『テテもちょっと前までは体で稼いでた癖に〜！』

「失礼します。」

胸を押し付けてきた1人に吐き気が襲ってきてすぐに離れた。

同時に、自分の過去を恨む。

俺も、あの女達の側だった。
汚い、部類。

「くそ…」

真っ黒な負の感情が俺を支配する。

汚い、汚い、汚い。

どんなに洗っても、どんなに拭いても決して綺麗になってくれない。

汚い、気持ち悪い。

アヤ「…さん、テヒョンさん！」

「わっ、アヤさん！」

不意に目の前に現れた彼女に負の思考回路が停止する。

「車、行かないんですか？」

アヤ「テヒョンさん、」

俺の言葉を華麗にスルーして言葉を続けるアヤさん。

その優しい表情に心が溶けていく。

アヤ「大丈夫です。味方でいます。」

何も知らないはずなのに、見透かされているような感覚に陥る。

「優しいですね、アヤさん。」

.