35 NANA ページ35
ｰナナｰ
アヤ「帰りました。」
「おかえり〜。ミオちゃんはユンギさんとこで曲の話してる。」
アヤ「そうですか。」
「…なんかあった？」
アヤの頬には涙の形跡があった。
アヤ「いえ、何もないですよ。」
そう言って僅かに微笑むアヤ。
その表情は特に無理をしている様子でもない。
「そう。」
大きなダンボールを抱えて部屋に入っていったアヤを静かに見つめた。
「あ、今日ご飯当番だ。」
自分の当番だったことに気がついて台所へ向かう。
ﾐｵﾘ「ただいま。」
「おかえりなさーい。」
ﾐｵﾘ「いい匂いね。」
「でしょー。もうすぐできるよ。」
ﾐｵﾘ「手洗ってくる。アヤも呼ぶわ。」
3人で食卓に着いた。
私たちはメンバーではあるけれど、基本的には性格がガッチリ合うような3人ではないと思う。
私は2人より遥かによく喋るし、ミオちゃんは合いの手程度にしか話さないし、アヤに至っては話を振らない限り一言も発しない。
最初は2人とも私の話を聞きたくはないのかと思ってた。
でも、違う。
2人は誰に対してもそうだし、きちんと話を聞いてくれている。
その証拠に、結構昔に私が言ったことをそう言えば、と切り出してくることもある。
私たちがあまりに性格が違うから不仲なのではと疑われることも未だにある。でも、そんなの考えるだけ無駄。
私たちは、もう、きっとお互いになくてはならない存在だと思う。
だけど、一度だけアヤを裏切ったことがある。
幼稚だった私が犯した罪は誰も知らないけれど、致命的で、あの子を傷つける発端となった。
アヤ「ナナさん、明日ダンスで確認したいことがあるのでよろしくお願いします。」
「うん、分かった。」
アヤ「今日は疲れたのでお風呂入って寝ますね。」
ﾐｵﾘ「そう。ゆっくり休んで。」
「うんうん、明日からカムバまで実質休みないしね。」
でも、間違ってはなかったと、今も自分に言い聞かせて生きている。
きっと、過去に戻ったとしても、同じ選択をするだろうから。
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年3月9日 17時
