192 TH ページ42
.
「おつかれさまでした。」
「うん、お疲れ。」
「…OSさんを探していますか？」
「え…っと、うん。」
セリナちゃんの質問に諦めて頷けば、彼女は少し、困ったように俺を見つめた。
「これを言うのは…すごく、すごく迷ったんです。
OSさんは言って欲しくないだろうし、テヒョンさんももしかしたら聞かなければ良かったと思うかもしれない。」
「セリナちゃん？」
「ひとつ、質問良いですか？」
「え？…う、うん。」
一度黙り込んだセリナちゃん。
けど、次の瞬間。
「コラボ曲のラストフレーズ、
"君は心の中にいる"
これは、メンバーの方に向けた言葉ですか？」
「っ…」
いつ、…いつ気付かれたんだ。
どうして。
何も答えない俺に、セリナちゃんは小さく息を吐いた。
「だぁっ…！」
「え？！何っ？！」
いきなり叫んだセリナちゃんは深く、本当に深く深呼吸をして。
俺に、ひとつの大きな秘密を教えてくれた。
「テヒョンさん、OSの由来を教えます──」
「っ…」
それは俺の心にずしりと落ちて。
ナイフの様に鋭くて。
「セリナちゃん、ありがとう。」
でも、泣きたくなるくらい
優しさに包まれていた。
「テヒョンさん…？！」
「ごめんね。俺もう行かないと。」
「え、でもこれから…」
アヤちゃん、やっぱり君は酷いね。
メンバーを思った曲だった。
それは嘘じゃない。
でも、いつか届けばいいなって。
そう思ったんだ。
この世界のどこかにいる君に、俺の歌声に振り向いて欲しくて。
大好きな君が、俺を思い出してくれれば良いなって。
もう一度、一緒に歌いたいと言ってくれるように。
たったワンフレーズ。
君に届いたかな。
「5年前、俺が見た未来はきっと、もうすぐだ。」
「テヒョンさん！待って…！」
俺の腕を掴んだセリナちゃんの瞳に、俺が映る。
今にも泣いてしまいそうな、そんな俺。
「セリナちゃん…」
「OSさんは実は、昨日インタビューを全部受けました！
今から先に日本に帰るそうです！空港にいます！
行かないんですか！？」
「…うん、行かない。」
「なんでですか！」
ねぇアヤちゃん。
君の特別って、なんだろう。
「弟に約束したんだ。
どんな人だったか、教えるって。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 613人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやテテ(プロフ) - なるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年12月4日 23時) (
レス) @page49 id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
なる - て、て、天才かと思いました！泣きながら読み終えました。ありがとう! (2021年12月4日 18時) (レス) @page49 id: 3ec18fd7b6 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - hkhさん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした！嬉しいお言葉ありがとうございます。画面越しに見る彼らの姿を想像しながら優しさや暖かさが伝えられたようで安心です！テテさんバージョンですね。了解です、検討します！コメントありがとうございました！ (2021年5月21日 21時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - Rioさん» 195話は考えに考え抜いた渾身の1話だったので心に響いて良かったです…！わわ、涙を拭えずすみません…！テヒョンさんの勇姿を何とか書け、エンディングも納得のいくものだったようでたようでホッとしています。コメントありがとうございました。 (2021年5月21日 21時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
hkh(プロフ) - はじめまして、ちょうど完結したタイミングで出会い、一気に読み終えました。ひとつひとつ、ひとりひとりが優しくて引き込まれました…！二人ともすごく気持ちが暖かく、素敵だったので是非、是非テテバージョンも読みたいです！ (2021年5月21日 0時) (レス) id: f9da484c95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年5月8日 0時
