173 JK ページ23
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「アヤをどこにやったんだよっ…!」
「ジョングク、」
もしかしたら、アヤをこんな運命に連れ込んでしまったのは俺かもしれない。
有名になればいいなんて、まだ未熟だった10年前の俺は勝手なことを言って。
でも、例えそうでも。
彼女の人生に影響を与えてしまったとしても。
「答えろって…!」
「ジョン…」
それでも俺には
「お前はいらないかもしれないけどっ、
でも、俺にはいるんだよっ…!
アヤが必要なんだよっ…!」
彼女が必要だった。
「っ、」
大声で問い詰める俺に、ミユンの顔は泣きそうに歪む。
彼女が本心で言ったわけじゃないこと、
彼女だってアヤを必要としてること、
そんなことは分かっていた。
それでも止まらなかった。
もう、二度とアヤに会えないんじゃないかって思ったら、怖くて怖くて。
ジミン「ジョングクっ…!」
ユンギ「落ち着けよ、お前。」
ヒョン達の声がして、振り返ればメンバーが勢ぞろいしていた。
でも、そんなの今は関係ない。
「ミユン、答えてっ…」
とうとう泣き出す俺を、ジミニヒョンが支えてくれた。
その時姿を現したのは。
「…ミユン、アヤちゃんはどこなの?」
俺以上にか細い声で彼女に尋ねるテヒョンイヒョン。
さっきまであんなに俺を引き止めていたのに。
「俺、今アヤちゃんの作業室に行ってきた。
なんでアヤちゃんの作業室、あんなに片付いてるの?」
あぁ、ヒョンも気付いたんだ。
アヤの存在がこの事務所から消えかかっていることに。
「俺は確かにアヤちゃんの手を離して欲しいと言った。
でもそれは、彼女をここから消せということじゃないよ。」
少しずつ、少しずつ震えるヒョンの声。
もう俺たちは悟ってしまった。
気付きたくないことに気付いてしまった。
「テヒョン先輩、ジョングク先輩。」
「…なに?」
「なにっ、」
「アヤはもう、戻ってきません。
彼女の居場所は誰にも教えない。
ここに、あの子の居場所はもうない。」
「「ミユンっ…!」」
「先輩、知ってました?
私だってアヤが大好きなんですよ。」
静かに涙を零したミユンを見て、
「くそっ…、」
「っ…」
俺とテヒョンイヒョンは同時に崩れ落ちた。
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あやテテ(プロフ) - なるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました! (2021年12月4日 23時) (レス) @page49 id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
なる - て、て、天才かと思いました!泣きながら読み終えました。ありがとう! (2021年12月4日 18時) (レス) @page49 id: 3ec18fd7b6 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - hkhさん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした!嬉しいお言葉ありがとうございます。画面越しに見る彼らの姿を想像しながら優しさや暖かさが伝えられたようで安心です!テテさんバージョンですね。了解です、検討します!コメントありがとうございました! (2021年5月21日 21時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - Rioさん» 195話は考えに考え抜いた渾身の1話だったので心に響いて良かったです…!わわ、涙を拭えずすみません…!テヒョンさんの勇姿を何とか書け、エンディングも納得のいくものだったようでたようでホッとしています。コメントありがとうございました。 (2021年5月21日 21時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
hkh(プロフ) - はじめまして、ちょうど完結したタイミングで出会い、一気に読み終えました。ひとつひとつ、ひとりひとりが優しくて引き込まれました…!二人ともすごく気持ちが暖かく、素敵だったので是非、是非テテバージョンも読みたいです! (2021年5月21日 0時) (レス) id: f9da484c95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやテテ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時:2021年5月8日 0時