10 ページ10
.
連れてこられたのは事務所内のラウンジだった。
ﾐﾕﾝ「テヒョン先輩にバレたこと、詳しく教えて。」
「…えっと、」
ﾐﾕﾝ「私には知る権利があると思うけど？」
「…たまたま歌ってるところを聞かれてしまって、それで…」
事実を伝えると、彼女の表情は固くなった。
声を低くして話し出した彼女は少し怒っているように思える。
ﾐﾕﾝ「いつの話？」
「デビューしてすぐです。セカンドアルバムの準備中に。」
ﾐﾕﾝ「信じられない。」
「すみません。」
ﾐﾕﾝ「誰にもバレたらいけないって、そう言われてるじゃない。」
「はい。」
少しずつ、彼女の言葉が鋭くなる。
でも、確かにあれは、私の失態で。
責められるのは当然だった。
ﾐﾕﾝ「で、テヒョン先輩はばらさないでいてくれてるの？例えば、…彼のメンバーに。」
「はい、おそらく。言わないでくださいって伝えたら大丈夫だと、おっしゃていましたから。」
ﾐﾕﾝ「…そう。他の人にはバレてないでしょうね？」
「おそらく。」
ﾐﾕﾝ「もっと徹底して隠して。バレたら終わりよ。
私も、あなたも。」
「はい。」
話の終わりが見えてきた時、ラウンジの入口が開く。
誰かが入ってきた。
ｼﾞﾐﾝ「あれ、ミユンと…」
ﾐﾕﾝ「こんにちは。もう出るのでお構い無…」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「…、」
ﾐﾕﾝ「っ…」
ﾃﾋｮﾝ「…。」
何故かジョングク先輩は面倒くさそうな顔を、ミユンさんは傷付いた様な顔をした。空気が悪くなっていることは気が付いて。居心地の悪さを感じる。
でも、テヒョン先輩が小さく微笑んでくれたから幾分ほっとする。
ｼﾞﾐﾝ「ミユン、この子誰？ここアーティスト以外立ち入り禁止だけど。」
ﾐﾕﾝ「えっと…」
「スタッフです。どうしてもこのラウンジの中を見たくてこっそり見せてもらっていたんです。
…すみません。私が無理強いしたんです。もう出ます。失礼しました。」
ジミン先輩の言葉に口篭るミユンさんに助け舟を出してからラウンジを出ようとするけど。
「あの、…Vさん…」
ﾃﾋｮﾝ「良いじゃん。折角入ったんだからもうちょっとだけ、ね？」
ｼﾞﾐﾝ「テヒョンア…」
私の前に立ち塞がって部屋から出ようとする私に通せんぼして意地悪く笑うテヒョン先輩に心の中でため息を吐く。
その手には乗りませんよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
