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「アヤちゃんありがとう。これで頑張れる。」
「私は歌っただけですよ。」
「十分だよ。アヤちゃんが歌ってくれれば、きっと俺はなんでも出来る。」
ふわりと私の頭を撫でると、テヒョン先輩はもう行かなきゃと慌ただしく去って行った。数分前に録ったテヒョン先輩との曲を再生する。
先輩の美しい声が耳に響く。
サビになると自分の声のハモリも加わって、良い塩梅に先輩の声を引き立たせることが出来たと思う。
いつものようにサイトに載せてみようか迷う。
テヒョン先輩とのセッションを載せるときっと注目を浴びてしまう。もちろん私ではなくミユンさんと先輩が。
でも、この先輩の歌声を独り占めするのは気が引けて。
彼の歌声を彼のファンにも聞いて欲しい。
悩んだ末、テヒョン先輩に許可を貰ってからにしようと、保存だけしておいた。
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ﾐﾕﾝ「アヤ。」
「何でしょう。」
頼まれていたOSTのレコーディング直前。
ミユンさんが私に声をかけた。
ﾐﾕﾝ「テヒョン先輩と歌ったの？」
「…はい。」
ﾐﾕﾝ「いつバレたの？」
「…昔、偶然。」
ﾐﾕﾝ「そう…」
『レコーディング始めます。アヤさん入って。』
「はい。」
なぜテヒョン先輩と歌ったことがバレてしまったのか。
きっとミユンさんとの共有フォルダに保存してしまったからなのだろうけど。彼女が私の歌声を定期的に聞くとは思っていなかったから驚く。
何か考え事をしているミユンさんが少し気になるけど、彼女を置いてマイクの前に立ち、ヘッドホンをつける。深く息を吸って目を閉じる。
『おっけ、じゃ、コーラスと歌い直し部分録ってくよ。』
「はい。」
『お、いい感じ。』
「このLalalala baby〜の部分、下にハモりを付けても良いですか？」
『うん、やってみて。』
「やっぱりない方が良かったですか？」
『いや、なんか音が厚くなった。良い！』
「ならこれでお願いします。」
『うん、これで良いかな。おしまい！』
「ありがとうございました。」
そのまま部屋を出ようとすると、ミユンさんに声をかけられた。
ﾐﾕﾝ「ちょっと良い？」
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
