48 Somebody to you ページ48
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それから俺はまず、ミユンに会いに行って歌声を褒めた。
その後、今歌ってくれと言うと、彼女は何か言い訳をして結局断られた。
やっぱり、と思いながら残念、と伝えて彼女と離れた。
確信した。歌声は間違いなくあの子のもの。
それから俺は時間ができる度に事務所内を探し回った。
でも、上手く見つけられなくて。あれほどのハイリスクを背負っているわけだから、代表が絶対にバレないようにしているのは直ぐに分かったから。
無理かと諦めかけていた。でも、チャンスが来たんだ。
少し前に録った、俺たちの次のアルバムに入れる曲の俺のパート。手違いで上手く録れていなかった部分が見つかったらしく急遽呼ばれた。
《Moonのミユンのレコーディングが1時間後にあるのでその間でいきましょう。》
ヘッドホンをしている俺に聞かれないと思ったのか、スタッフ間で小声で話す言葉を偶然聞き取ってしまい、飛び跳ねるほど嬉しくなった。
このチャンスを逃す訳にはいかない。
録りなおしが終わって、着けていた指輪を外してソファーの隙間に挟み、一度部屋を出る。
《1時間後だってあの時点で言ってたから…1回練習室行って戻ってくれば良い時間帯かな…早いかな》
一先ずみんなと合流して、直ぐに指輪がないことを告げてレコーディングの部屋に戻る。
《失礼します、忘れ物…》
そこにスタッフさんはおらず、いたのは、…俺が探していた彼女だった。
《えっ……》
《えっと…》
君に会うまでの俺は、ただ君を見れたら、ちゃんと近くにいることを知れたら、それで満足だと思ってた。
でも楽譜を確認していた君が、目を見開いて、困ったように俺を見つめたその瞬間。
《君が、ミユンの声？》
もっともっと君に近付きたいと思ったんだ。
君は、俺とあの日会ったのは
必然だったと知ったら、どう思う？
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
