Ghost Singer (ページ34)

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先輩方にお返事をして数日。

作業室で歌っていると、ドアが来客を知らせた。

「はい、」

「久しぶり、アヤちゃん。」

ドアを開ければ、そこにはテヒョン先輩がおられた。

「っ、あの、テヒョン先輩…」

「しーっ、言わなくて良いよ。」

謝罪の言葉を述べようとすると、先輩は私の口元に自身の指を立てた。

そう、私はジョングク先輩とのコラボを選んだ。

「でも、」

「お互いの完成した後にね、ジョングクの聴いた。

冒頭のハミングで分かったよ。あぁ、今回はあいつだって。」

「…っ、」

「あのね、アヤちゃんが情で俺を選んだら怒りに来ようと思ってた。でも、ちゃんとジョングクを選んだから。だから今日は褒めに来たよ。」

良い子良い子、と私の頭を撫でるテヒョン先輩。
それが先輩の優しさなのだと、もちろんわかった。

「あの、…先輩の歌声もすごく素敵でっ…あの、否定するわけじゃないんですっ…本当にっ…失礼なことしてしまって…」

何を言っても失礼なのは分かってた。
今何を言ったって言い訳にしか聞こえない。

それでも、言わずにはいられなかった。

馬鹿みたいにとりとめなく言葉を紡ぐ私に、先輩は笑う。

「アヤちゃん、俺の言葉ちゃんと聞いてた？」

「えっ…？」

「今回はあいつだって分かったの。…今回は。」

「っ…」

「次は俺を選んでもらうよ。」

真っ直ぐに私を見る先輩の顔があまりに綺麗で、言葉を失う。

「ひひ、だから大丈夫。アヤちゃんが謝ることなんて何一つないんだから。

今回はジョングクとのコラボ、楽しんで。
応援してる。」

ぽんぽんと頭の上に乗るテヒョン先輩の大きな手も、口を四角くする可愛らしいその笑顔も、伝えてくれたその言葉も。

全部、テヒョン先輩の優しさで溢れていた。

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