33 ページ33
.
沈黙を守り続ける私に、ミユンさんは言った。
「あんたが選ぶのに躊躇する理由は容易に分かるわ。」
「…」
「でも、ここで変な優しさ見せられて2人の先輩は喜ぶかしら。」
「…それは、」
「どっちも良すぎて選べませんでした、なんて」
「…っ、」
「あんたのためにわざわざ時間を割いてこれを歌ってくれた先輩方に失礼なんじゃないの。」
「っ…」
ミユンさんの言葉にハッとする。
そうだ。確かにそんな答えを貰うためにこれを歌ってくれたわけじゃない。
「あんたとテヒョン先輩やジョングク先輩がどんな関係なのか私には分からないけど、きっと2人はあんたがどっちを選んだって、それを尊重する。」
「でも…どっちかを選んだら…もう片方を否定してしまう気がして。」
思っていた不安の種を零せば、ミユンさんは大きなため息を吐いた。
「あんたがそう思ってんの？」
「え？」
「選ばなかった方を、あんたは否定するの？否定してるの？」
「違います…！」
思わず大きな声を出せば、ミユンさんは少し笑った。
「なら、良いんじゃない？」
「え…」
「あんたが…アヤが否定してるわけじゃないってそう言ってるんだったらそうなんでしょ？
それを疑われるほど信用されてないわけ？」
「それは…」
よく、分からなくなってきた。
でも、一つだけ思う。
もしかしたら私は考えすぎなのかもしれない。
ﾐﾕﾝ「じゃ、私は帰る。」
部屋を出て行こうとするミユンさんに声をかけた。
「ありがとうございました。おかげで、ちゃんと決められそうです。」
「そう。
…この前はごめんなさい。言いすぎた。」
「いえ。」
じゃ、と出て行くミユンさん。
もう一度だけデモテープを聴いて、やっと決めることができた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
