30 JK ページ30
ｰジョングクｰ
「で、ジョングクはどこまで知ってんの。」
想像通りというか、想像以上と言うか。
ヒョンは俺の部屋に入ってきて開口一番そう言った。
「…2016年のMAMAで、ミユンに言われたんです。
実は自分は歌っていないと。」
「うん、それで？」
「その日から先日までは、ミユンの歌声はミユンのものじゃないという事実しか知りませんでした。」
「先日まで…？」
「ヒョンが…ファンからの異常な電話の件数で悩んでた日、アヤのところに行きましたよね？」
「っ、」
ヒョンの綺麗な顔が少しだけ歪み、大きなため息を吐いた。
「俺のせいってことか。」
「違いますよ、ヒョン。」
そう、違うよ。ヒョン。
「テヒョンイヒョンのおかげです。」
にっこりと笑えば、彼は諦めたように笑って俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「お前本当にむかつくな。」
「可愛いって思ってる時の顔してますけど？」
「うるさい。」
あーもう、と俺から離れたヒョンは勝手に俺のベッドに腰掛けた。
「誰かにつけられてる気はしてたんだよ。まさかお前だったとは。」
「ヒョンとアヤはどんな関係なんですか。」
俺の質問に、ヒョンは一度口を閉ざした。
そういう関係である可能性が今のところは大きい気もする。
でも、アヤのあの感じだと…。
「…俺は彼女のファンなの。ただ、それだけ。」
やっと発したその言葉は、軽く聞こえたけど、ヒョンの瞳が切なく揺らいだから。
ああ、そうなんだって。勝手に納得。
「もういいや。今日はこれでおしまい。」
「分かりました。」
「じゃ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
俺の部屋を出て行くヒョンを何となく目で追った。
テヒョンイヒョンのアヤへの気持ちなんて、知りたくなかった。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
