24 JK ページ24
ｰジョングクｰ
ヒョン達にすら言えなかった真実をまさかそう簡単にこのゴーストシンガーに打ち明けるなんて想像すらしてなかった。
「だから、歌って欲しい。俺にあなたの歌声を聞かせてください。」
やっと探し求めていた声に出会えると気付いて胸が高鳴る。こんな経験久しぶりだ。
「分かりました…。」
アコギを手にした彼女は指を弦に置く。
沈黙が襲うこの部屋中に、俺の心臓の高鳴りが響き渡るような気がした。
息を吸った彼女は口を開き、その歌声で
一瞬にして俺の心の全てをかっさらった。
君の見える世界が
僕の見える世界と違うとして
でもその中に君も僕もいて
同じ輝きの中巡り会えたのなら
彼女が弾き語りをする姿は堪らなく綺麗だった。
俺の目指す声の形が、どうしても届かない歌声が、
今、目の前にある。
俺のためだけに歌ってくれている。
「ジョングク先輩…？」
涙が出るほど嬉しかった。
歌い終わった彼女は涙する俺に心底驚いてあたふたする。
その様子が面白くて笑ってしまった。
「泣いたり笑ったり忙しいですね。どっちも何故なのか私には分からないけど。」
テヒョンイヒョンは、こんなにすごい人をずっと独り占めしてたのか。
でも、そうしたくなる気持ちもわかる。
俺だって、誰にも言いたくないから。
「ねぇ、俺とセッションしない？」
「今から？」
「うん。」
「良いけど…」
「やった。
アヤの声はバラードだとより良さが引き立つ。」
「それ、テヒョン先輩にも言われました。」
「ふぅん。」
いいってば。
俺といる時にヒョンの名前なんか出さないでよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
