21 JK ページ21
ｰジョングクｰ
「きっと、ミユンさんはあなたを信頼して告白したんだと思います。」
「それって、俺を責めてるんですか？」
そんなことは分かってた。ミユンはきっと、俺を信頼してくれていたから、だからこそ、俺にだけは秘密に出来なかった。ちゃんと真実を言ってくれたんだと思う。
そう考えれば、俺は彼女の期待を裏切り、彼女の気持ちも踏みにじった。
友達でい続けよう、歌が全てじゃないんだから。全くそう思わなかったわけじゃない。
でも、それでもダメだった。
初めてミユンの歌声を聴いたのは彼女のデビュー曲。練習生時代、何だかんだ歌声を聴かせてくれなかった。
だから初めてミユンの歌を聴いた時、感動した。
ミユンの歌声を目指したいと思った。
もちろん性別が違うのだから音の高さとかそういうことを目指したい訳じゃなくて。
彼女の声の美しさを、聴く人を夢中にさせる、惹き付ける、そんな声を出したい。
だから、だからこそ、許せなかった。
俺の愛した歌声が、彼女のものじゃないこと。
歌声を我がもののように振る舞う彼女。
その全てに吐き気を覚えるほど、許せなかった。軽蔑しか感じなかった。
それに彼女の歌声は俺が探していた歌声だったから。
「あなたには分からないでしょうけど。」
所詮他人には分からない。
「…それから本当に縁を切ったんですか。」
「えぇ。あれからまともな会話は一度もしていません。」
これで良かったと思ってる。
きっと口を開けば、ミユンを傷つけると思っていたから。
そこで、ふと重要なことにいくつか気がついた。
待って、俺が恋焦がれてた歌声って…
この目の前の彼女の歌声ってこと？
.
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
