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「先輩の苦しさを分かることは私にはできませんけど、でも、伝わってきます。
間違いなんて誰にでもありますけど、先輩のそれは、間違いじゃないと思います。人間なんだから、先輩が受け取ったものの中に恐怖があってもおかしくないです。
悪いことじゃないです。
正しく受け取れなくても、大丈夫です。
そんなことで離れていくファンなんてきっといません。
みんな先輩のことが大好きなんですから。」
在り来りな、分かった風な生意気な言葉を先輩は静かに聞いてくれた。先輩の感じる苦しみはやっぱり私には分からないけど、でも先輩が辛いなら話を聞きたいと思う。
例えそれが何の解決にもならず、ただの私の自己満足だったとしても。
「アヤちゃんは真っ直ぐで綺麗だね。
ずっと、そのままでいて。」
「何ですか、それ。」
「俺だけの歌姫であって。」
いつものおどけた様子はなく。
真剣に、真っ直ぐに。
ハッとするほど美しい瞳に囚われた。
「ひひ、ありがとう。アヤちゃんのおかげで元気出た！
俺なりに、ちょっとずつ、進んでいく！」
「はい。陰ながら応援してます。」
「アヤちゃんがそう言うなら頑張れる！」
「何ですか、それ。」
「じゃ、そろそろ行かないと…あ、次からドア開ける時はちゃんと確認してから開けてね。」
「…？
はい。」
お邪魔しましたーと元気に出て行った先輩に安心する。
あれくらい元気な先輩が、この先もずっと笑っていられますように。
そう思うくらいには、先輩のことを慕っているんだと思う。
今日はこの曲にしよう。
楽譜を手に、練習を再開した。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
