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ああ、どうしよう。
絶対にバレたらいけないのに。
体が凍りついて動かない。
息をするのも忘れていた頃、先に視線を外して踵を返して行ったのはジョングク先輩の方だった。
その姿に一先ず安堵して、控え室に向かう。
確かジョングク先輩はこの歌番組のMCで。
でも厳重に守られてるこのステージ裏の様子を何故彼があの場所から見ることが出来たのか。
浮かぶ疑問はたくさんあるけど、今日は帰って頭を冷やしたい。落ち着きたい。
そう思って控え室を出るためドアを開けた瞬間、ばったりとジョングク先輩と出くわした。
「…」
「…、」
長い沈黙の後、
「し、つれいします…」
「待ってください。」
どうにか逃げようとした私の手を彼が取った。
「…なんで、」
ああ、聞かれてしまう。
どうしよう。
「……、なんであの場にいたんですか？」
その言葉が頭の中で響く。
なんであの場にいたのか。
思わぬ質問に驚く。
だって、もっと核心を突いてくると思ったから。
それを聞くということは、私が裏で歌っていたことをまだ確信していないのかもしれない。
となれば。まだ足掻いても許されるかもしれない。
「スタッフですから。…Moonの雑用をしてるんです。だから、舞台裏にいることを許されていて…。」
「…あ、そうでしたね。失礼しました。」
彼は私の手を解放すると、そのままどこかへ行ってしまった。きっと、大丈夫だった。
これ以上、人にバレる訳にはいかない。
ミユンさんも、私も、これ以上の窮地に追いやられるのは勘弁だ。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年3月19日 17時
